新しい年度が始まった。せっかく、意中の企業に入れたのに、箸にも棒にもかからない上司の下に配属されたり、逆に、いやいや異動した部署だったのに、思いのほか仕事が面白かったり、働く人たちの悲喜こもごもが、最も顕著に現れる季節でもある。 どうにもやりきれない際は、会社を辞めて出直すという究極のカードがある。そのカード、ほんの20年前は切る人がごく限られていた。正確にいえば、昔も転職者はいたが、日陰の存在だった。大手を振って会社を辞めるのは、なかなか勇気が要ったに違いない。 それが今はどうだろう。テレビでは転職エージェントのCMが堂々と流れ、季節に合わせて服を着替えるように、気軽に転職する若い人が増えている。 発売1カ月足らずで早くも3刷。好調な売れ行きを示す本書は、そうした20代、30代の転職予備軍に向け、業績の安定度や規模で就職先を選び、定年まで勤め上げる、といった〈昭和的価値観〉から脱却し、生