「デジタル環境が整ったいまだからこそできる、丁寧な本の作り方や届け方があるはず」。そう語るのは、2012年に誕生した新刊書店B&Bの運営をはじめ、人と本の出会いをデザインする試みを数多く行ってきたNUMABOOKS代表の内沼晋太郎。これまでは既刊本をめぐり「実験」をしてきた彼が、このたび自身の出版レーベルを立ち上げることになった。その第1弾となるのが、森山大道の写真集『新宿』(2002年 / 月曜社)の全ページを使ったコラージュ作品を収める、グラフィックデザイナー吉田昌平の『新宿(コラージュ)』だ。 現在、本の価格は一律に設定され、その流通は「取次」と呼ばれる卸会社に委ねるのが通例となっている。そんな画一化の一方で、彼らは、クラウドファンディングサービス「CAMPFIRE」を使って本を先行発売し、流通を段階化したり、本の価格を選択できる仕組みを導入するなど、本と人のより適正な関係性を模索し