「清水さんとこに連絡ないんですか?」 あるわけないよ。 あいつはそういう奴なんだよ。 「そんなこと言って、今まさに二人で酒でも飲んでるんじゃないの?」 アホか。 こっちはこっちで、いろいろ忙しいんだよ。 理由はどうあれ、途中で投げ出した奴のことなんか知るか。 テレビをつけた。 沢村一樹がニヤニヤしながら何かほざいてる。 かれの言葉は、まるで空疎で、まったく心に響かない。 なにかときどき大事なことを言っているようだが、それがどういう意味なのか自ら説明はしない 周囲で黒木メイサや国仲涼子が想像し、想像が外れ、振り回される。 このドラマは実にリアルだ。 それでなにかストンと腑に落ちるものがあった。 社長と呼ばれる仕事の主な任務は、隠し事だ。 もうなんでも隠す。 社員の給料から、自分の給料から、人事のことや、社員の家族のこと、自分の病気のこと、エトセトラ、エトセトラ。 何も考えてないときでも、考え