「あ、本物だ」 コーヒーも、パンも、ソーセージも、口にするとカラダが喜ぶのが分かる。 新宿駅東口の改札の隣にあるビア&カフェ「ベルク」。15坪の狭いスペースに、1日1500人以上の客が訪れる。メニューの種類は100以上でいずれも安くてうまい。だから、1日の平均売上高は約60万円。駅ビル随一の坪効率を誇る。 2年前、店長が執筆した『新宿駅最後の小さなお店ベルク』にはそんな実績とともに、チェーン店が勢力を増す中で、20年近くインディーズ店としていかに生き残ってきたか、が描かれていた。2008年を代表するノンフィクションであると同時に、優れたビジネス書でもあった。 実は、当時からファッションに重点をおいたテナントに変更したい駅ビル側から立ち退きを迫られており、今もその状況に変わりはないのだが、ベルクは立派に踏ん張っている。 保存料に頼った食材はほとんど使わない。鮮度を保つため作り置きをしない。食