僕は食品会社の営業部長だ。当社は或る指名競争入札に参加することになった。本来、入札案件は本社営業部の管轄である。だが、今回、指名されたのは支社であったため、支社の営業部門で参加することになった。担当は金融機関から天下ってきた会社上層部、俗称《マネーロンダリングス》のひとり、支社長氏。60代の氏は、業界知識なし、入札参加経験なし、人脈なし、人望なし、漢気なし、そんなナイ×5人間である。 ご自身も自信がないようで、28年間の営業マン生活で入札経験豊富な僕に必勝法をたずねてきた。親切心から「私が代理でやりましょうか?」と提案したが「キミは自分の手柄にするつもりだろう?」と疑われたため、親切心が蒸発して虚無になりました。 そんな流れで経験も知識も向上心もないが自尊心と出世欲は人並以上にある支社長氏に競争入札必勝法についてレクチャーすることになった。中学生が理解できるレベルで分かりやすく説明したので