ローズパーク・アドバイザーズという名のヘッジファンドが米東部ボストンにある。米ハーバード・ビジネススクール(HBS)のクレイトン・クリテンセン教授が打ち立てた、「イノベーション(技術革新)のジレンマ」と呼ばれる経営学説を投資戦略の支柱にすえている。クリテンセン教授が唱えるのは企業の「平家物語」、栄枯盛衰の常である。写真機の機能改善にこだわった米ポラロイドの没落を取り上げることで、大企業(平家)が自己変革する難しさを実証した。一方で、こうした大企業は、廉価で顧客需要に応えた新規参入の新興企業(源氏)に市場シェアを奪われた。(ニューヨーク駐在編集委員 松浦肇) ◆「破壊者」への投資 当初は機能が劣っていても新たな顧客層をひきつける新興企業を「ディスラプター」(破壊者)と呼ぶ。ローズパークはディスラプターに投資する戦略で、米医療ソフトウエアのアテナヘルス、米クラウドコンピューティングサービス