東京から「特急ひたち」に乗ると、ちょうど1時間で水戸に着く。そこからしばらく北進して右手に海が見え始めると、そこが茨城県日立市だ。 1900年代初頭から発掘された日立鉱山の銅は44万トンにもなり、そこから日立製作所が誕生。近代産業史に大きな影響を及ぼした。鉱山の煙害対策のために14年に立てられた155・7メートルの煙突は、当時世界一だった。93年に倒壊してしまったが、かつての日立のシンボルは新田次郎氏の「ある町の高い煙突」という小説にもなっている。 私の幼少時代は、日立製作所の工場に勤務する労働者で栄えた街。夏になれば海水浴客らで、さらににぎわった。近年は日立製作所の工場縮小と、東日本大震災による福島第1原発の放射能の風評被害で、街は活気を失いつつある。 その日立市のちょうど真ん中に、茨城県立日立工業高校はある。そう、現役引退を表明した元日本代表で千葉FW鈴木隆行選手(39)の母校だ。 長