もはや忘れ去られた感のある筒井康隆の断筆事件ですが、語っておきます。この問題をスルーするのはありとあらゆる言論にとって致命的なんじゃないかと思いますよ。ことのはじまりは「無人警察」(「にぎやかな未来」収録)が国語の教科書に採用されたことでした。この短編は近未来を舞台にして管理社会を皮肉るという初期の筒井康隆によくあるパターンの話なんですが、文章中にてんかんをもつ人々への差別的な表現があるとして日本てんかん協会に文句を言われます。 日本てんかん協会の抗議 少し長くなりますが、その言い分を引用しましょう。角川書店が日本てんかん協会の声明文を要約したものであり、日本てんかん協会の声明そのものではありません。しかし内容に齟齬が見受けられない、むしろ要約された分論旨が明確になっているのでこちらのほうを採択しました。 「無人警察」におけるてんかんに関して記述した部分は次のとおりです。(中略) 四つ辻ま