. 菊と刀 . ルース・ベネデクト 戦時中の、日本人が眺めるアメリカ人像は、単純で滑稽なものでした。つまり、アメリカ人はすべて残忍、残虐、で日本人の人肉を食い、日本人の頭蓋骨を飾って楽しんでいる---そのような獣(けもの)のような生き物に思われていました。 一方、アメリカ人の日本人に対する見方は、もっと酷いものがあったと思います。日本人は人間ではなくて、単なる黄色い動物で、アメリカ人に対抗出来るような人間とは全く思ってもいなかったと考えられます。 然し、日本がアメリカ人に対する見方を幼稚なままに済ましていたのに反し、アメリカの方では然るべき人物が冷徹な目で日本人をトータルとして把握していました。戦後の日本占領政策と日本統治に生かすべくアメリカ政府が日本研究を委託したルース・ベネデクトがその人物です。彼女は人類学者