新型コロナウイルスなど、感染症危機に関する国家安全保障や危機管理の側面からの考え方や、感染症危機をめぐる国際政治について紹介する本連載。今回は、自国でワクチン開発をできないことのリスクや、開発を促すためにどうしたらいいかを考える。 鬼殺隊は「珠世」を内製化 2020年に大ヒットした、鬼殺隊と鬼の死闘を描く「鬼滅の刃」。鬼殺隊は、彼らの武器である日輪刀の斬撃だけでは、鬼の親玉である鬼舞辻を倒せなかった。自身も鬼でありながら鬼舞辻に敵対する珠世が作り上げた4種の薬(人間返りの薬、老化の薬、分裂阻害の薬、細胞破壊の薬)が、決定的な役割を果たした。 同じ時、現実の日本。現代の鬼殺隊ならぬ感染症危機管理を生業とする人々が、自らの身の危険を顧みず日々奮闘し、新型コロナウイルスという悪役に対して、4種の手段で決戦を挑もうとしている。アメリカのファイザー/ドイツのバイオンテック、アメリカのモデルナ、イギリ