■なぜ人工知能は東大に合格できないのか?(下) ロボット(AI)が東大に挑む「東ロボくん」プロジェクトに一区切りがついた。挑戦して分かったのは、ある種の問題には対応できても、読み解けない問題が多く残るというAIの弱点だ。有名私大に合格できるレベルには達しても、東大に届く見通しは立たないという。 プロジェクトを率いた新井紀子教授が明かすのは、近未来への意外な不安である。まことしやかに語られるシンギュラリティ(AIが人間の能力を超える技術的特異点)への到達には懐疑的であり、また人間が担う労働は二極化が起きると予測する。 *** 私たちは東ロボをやめたわけではなく、選択と集中をします。東ロボくんでは、現在可能な取り組みは右から左まで、論理も、データで力任せにニューラルネットワークする方法も、ひと通り試しました。その結果わかったのは、AIにはできることとできないことがあるということ。AIには難しい