北海道・小樽の漁港には、厳しい環境と闘いながら、次世代へと命をつなぐ猫の世界があった。力強く生きる野良猫たちの姿を通して、土肥美帆氏が「命の素晴らしさ」を伝える。(この記事はナショナル ジオグラフィック日本版2017年12月号「写真は語る」に掲載されたものです) 大きな病気をし、命には限りがあるということを実感した11年前。記録として、自分の見た世界、愛したもの、感動した瞬間を残しておこうと、遺書のようなつもりで写真を撮り始めた。 食べ物をめぐっては、猫とカラスはライバルだ。船に人の気配がなくなると、こっそり忍び込んで、床に落ちている魚を奪い合う。幸い漁港の漁師たちはネズミを捕ってくれる猫たちに好意的で、時々、魚をくれることもある。(Photograph by Miho Doi)