台湾海峡の緊張が高まっている。基地問題に詳しい野添文彬・沖縄国際大准教授と在日台湾人ジャーナリスト、劉彦甫さんの対談。「中」は、台湾が日本の右派に利用され、左派は冷淡な傾向があるといった日本における台湾理解の偏りや、台湾と沖縄の立場の共通性などを議論しました。【構成・鈴木英生】 台湾海峡をめぐり緊張が高まっています。沖縄国際大の野添文彬准教授と、若手の在日台湾人ジャーナリスト、劉彦甫さんが、沖縄と台湾を取り巻く状況を3回にわたって討論します。 上 海峡有事と基地問題の背景 下 共に問う。日本はどうする? 日本、中国、米国に翻弄(ほんろう)されてきた台湾 ――台湾の歴史と現状を改めて教えてください。 劉 戦前から語る必要があります。日清戦争後、台湾は日本の植民地になりました。抵抗運動が抑え込まれたうえで、台湾には参政権がなく、進学も日本人が台湾人より優遇されるなど政治・社会的な差別がありまし