麴を混ぜ一晩寝かせた蒸米を崩し木箱に詰め替える職人たち。麴は日本の食文化を支えてきた=福岡県八女市の高橋商店で2022年12月8日午前7時、徳野仁子撮影 「麴(きく)先生」「麴秀才」は昔の中国で使われた酒の異称。「麴(こうじ)」がずいぶん持ち上げられている。穀物をカビの一種で発酵させた麴を使って酒やみそ、しょうゆなどを醸造する技術は東アジアに特有の誇るべき文化だ▲麴自体も漢方薬の一つだった。薬草などを集大成した明代の「本草綱目」には数種類の麴の記述がある。アドレナリンの発見で知られる高峰譲吉博士が130年前に麴から創製した消化酵素「タカジアスターゼ」は今も使われる▲蒸した米を原料にした「紅麴」は中国南部の福建省などで酒や調味料作りに使われてきた。赤い色が特徴で沖縄に伝わり、チーズのような伝統食品「豆腐よう」が生まれた。紅麴菌からコレステロール抑制効果のあるスタチンを発見したのがラスカー賞も