政治家・安倍晋三の突然の死に思う~政治における「貴族性」とは何か 民主主義を担うために必要な政治家の「資質」「覚悟」とは 櫻田淳 東洋学園大学教授 安倍晋三(元内閣総理大臣)の暗殺は日本内外に衝撃を及ぼした。安倍が日本の憲政史上、最長の執政を手掛けた宰相であり、各国から寄せられた弔意に示されるように国際政治の場裡で稀有(けう)な存在感を発揮した外政家であった故にこそ、彼の落命の衝撃は、大きなものになっている。1963年11月、ジョン・F・ケネディの暗殺の報に接した往時の米国国民の心理も、このようなものであったかと想像する。 日本国内では「民主主義体制に対する挑戦」といった言辞に拠って、これを非難する反応が横溢(おういつ)していた。参院選の最中に「暴力」による介入が行われたのであるから、確かに「民主主義体制に対する挑戦」である。 ただ、この「民主主義体制に対する挑戦」という反応それ自体は、誰