原告の請求が棄却され、沈鬱な表情を浮かべる原告団=熊本市中央区で2024年3月22日午前11時11分、金澤稔撮影 日本の公害病の原点とされる水俣病の被害救済が、終わっていないことを示した司法判断である。 熊本、鹿児島両県などの住民ら144人が国と県、原因企業のチッソに損害賠償を求めた訴訟で、地元の熊本地裁が判決を出した。 不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に訴え自体は退けたが、原告のうち25人を水俣病と認めた。 2009年に施行された水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済措置の対象者は、原則として不知火海沿岸9市町に1年以上居住した人に限られた。 25人のうち20人はこの対象区域外に住んでいた。国は、特措法で「最終解決を図る」としていたが、救済から取り残された患者がいることになる。 争点の一つとなったのが「除斥期間」を巡る判断だ。国はチッソが排水を止め