赤木俊夫さんの自殺と改ざん作業の因果関係を認め、賠償請求を受け入れた国の準備書面=2021年12月15日、猪飼健史撮影 「引き続き真摯(しんし)に向き合っていきたい」という岸田文雄首相の言葉がむなしく響く。 「森友学園」をめぐる財務省の決裁文書改ざんに関与させられ、自ら命を絶った近畿財務局職員、赤木俊夫さんの妻雅子さんが国などに損害賠償を求めた訴訟で、国は突然、請求を全面的に受け入れて裁判を終結させた。 「夫の死の真相を知りたい」と訴えてきた雅子さん側は、今後、裁判で赤木さんの上司らを証人として呼ぶ予定だった。それを封じる形で国が終結を急いだのは、よほど真相が解明されるのを恐れていたとみるほかない。雅子さんが「不意打ちで、ひきょうだ」と憤るのは当然だ。 方針は13日に財務省が決定し、翌日、岸田首相に報告された。首相が強く異論を唱えたフシはない。つまり首相も、この方針決定に責任を負っていると