日本の外交・防衛政策の司令塔である国家安全保障会議(NSC)を支える事務方トップに今月、前外務事務次官の秋葉剛男氏が就任した。官民を問わず幅広い知見を結集して、多岐にわたる安全保障上の課題に取り組んでほしい。 NSCは米国をモデルに、安倍前政権が13年に創設した。役所の縦割りを排し、官邸主導で意思決定を行うための仕組みである。首相、官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」を中核とし、事務局を務める国家安全保障局(NSS)の局長は、省庁間の調整や首相への助言といった重責を担う。 元警察官僚の北村滋氏に代わり、約2年ぶりに外務省出身の局長となった秋葉氏は、戦後最長となる約3年5カ月にわたって外務事務次官を務め、菅首相の信頼も厚いとされる。中国課長として日中の「戦略的互恵関係」の理念づくりに携わり、その後、中国をにらんだ「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の推進でも中心的な役割を果た