1強の弊害に真剣に向き合わず、異論を排除し、世論の分かれる政策も数の力で強引に押し通す。そんな安倍政治はすでに限界と言わざるを得ない。さらに3年の任期に臨むのであれば、真摯(しんし)な反省と政治姿勢の抜本的な転換が不可欠である。 自民党総裁選は7割近い得票を得た安倍首相が、石破茂・元幹事長の挑戦を退けて3選を決めた。しかし、国会議員票では8割を得ながら、党員・党友による地方票は55%にとどまった。石破氏に投じられた45%は、首相に対する批判票と受けとめるのが自然だろう。 ■「品格」なき締めつけ 6年ぶりの選挙戦となった今回の総裁選では、開かれた政策論争に後ろ向きな首相と政権党の姿勢が際立った。 石破氏が8月上旬に立候補を表明したのに対し、首相は西日本豪雨への対応などを理由に態度表明を遅らせ、結局、告示前の討論会は実現しなかった。告示後も北海道での大地震や外交日程を理由に、実質の運動期間はほ