会社法違反などの罪で逮捕、起訴された日産自動車の前会長カルロス・ゴーン被告が保釈された。裁判所、検察官、弁護人の三者で争点や主張を整理する手続きが、まだ進んでいない段階での異例の措置だ。 前会長の身体拘束がいつまで続くかに注目が集まり、外国メディアからは日本の刑事司法に対する批判も出ていた。 そこには誤解や偏見も少なからずあったが、否認を続けると拘束が長くなるのはデータからも明らかだ。長く自由を奪うことで精神的に追いつめ、争う意欲を失わせる手段として、捜査当局が勾留手続きを利用してきたのは紛れもない事実だ。 人質司法と呼ばれるこうした悪弊は、もっと早く是正されてしかるべきだった。しかしそれは果たせなかった。関係者はその教訓と責任を胸に、今回の事件を勾留実務の改革に結びつける契機にしてほしい。 素地はある。勾留は、容疑者や被告が逃亡したり、証拠を隠滅したりするのを防ぐのが目的だ。その恐れがあ