大人数が参加しているのに、なかなか進まないプロジェクトというのがままある。そんな遅滞状況からあることをキッカケに、プロジェクトメンバーが単独で生み出してしまったOSがある。 そのOSとは、現在に至るまで長く広く使われている「UNIX」だ。今回はUNIXの開発者、ケン・トンプソン氏(以下敬称略)を紹介しよう。 本稿が掲載される2月4日が誕生日であるケン・トンプソンは、幼少の頃から電気工作に強く、近所の電器屋の手伝いをして駄賃代わりにもらった部品で、自作のラジオや無線機を作ったこともあったという。そして、その流れのままカリフォルニア大学バークレー校の電気工学科を卒業して同大学院へ進む。学生時代には得意の電気工作でジュークボックスの修理で学費と生活費を稼いでいた。どちらかと言えばハードウェアに強い彼がなぜ、UNIXを開発することになったのか? 大学院修了時に、AT&Tベル研究所から入所の誘いがあ