前回のテーマは睡眠時間の男女差であった。日本は先進国の中では珍しく女性の睡眠時間が男性よりも短く、とりわけ有職女性でその傾向が著しいことを紹介した。今回は女性ならではの睡眠障害を取り上げる。 前回紹介したように、健康時の必要睡眠時間や睡眠構造(睡眠の深さや各睡眠段階の比率)には男女間で大きな差異はない。それにもかかわらず、多くの睡眠障害では有病率に男女差がある。例えば、睡眠時無呼吸症候群や夢の内容そのままに体が動いてしまうレム睡眠行動障害は男性に多い。逆に、不眠症、足のほてりやむずむず感で眠れなくなるレストレスレッグス症候群、眠りながらがっつり食べてもまったく覚えていない睡眠関連摂食障害などは女性に多い。 睡眠障害の有病率に男女差が生じるのは、肥満度やストレスへの抵抗性、自律神経やホルモン分泌機能など睡眠調節に関わる心身機能の障害の受けやすさ(脆弱性)に男女で違いがあるからだ。そのほか、育