前回は、新入社員の田中さんが仕事を休むようになって、会社には「うつ状態」と記載された診断書が届いたのみで、戸惑う上司の三浦さんのお話をしていました。 今回は、その続きです。 ◇ ◇ さて、診断書に書かれていた「うつ状態」という情報からは何がわかるのでしょう。なぜ発達障害のことが書かれていないのでしょうか。 このお話では、田中さんが精神科や心療内科をごくごく最近受診したばかり、ということがポイントです。 1回か2回通院しただけでは、診断を確定することが難しいのが精神科の領域です。中でも発達障害は、幼い頃からの発達に関する情報をご本人やご家族から詳細に聴取したり、心理検査を行ったり、ある程度の期間の経過をみたりする必要があり、慎重な診断のためには時間がかかるものなのです。 そもそも発達障害というのは「どこからが明確に障害で、どこまでが個性」と線引きできるものではありません。連続