渋谷駅南口すぐの場所に立つ、真新しいガラス張りの高層ビル。昨年9月に開業した「渋谷ストリーム」はレストランやホテル、イベントホールなどを構えにぎにぎしい。オフィスフロアにアメリカのグーグルが入居することを受け、ビル上層部に「Google」のロゴが張り出されるなど、話題は尽きない。 「シブヤ」を体現するような、開放的できらびやかなビル。だがその開発過程においては、立ち退きをめぐって計12件もの訴訟が繰り広げられていたことは、あまり知られていない。 渋谷をめぐる立ち退き戦争 ビルが立つ場所にはかつて東急東横線線渋谷駅の高架があり、その周辺には小規模な雑居ビルが密集し、昼間でもどこか薄暗い場所だった。東横線渋谷駅の地下化に伴って広大な空き地が生まれることを契機に、東京急行電鉄(現・東急)は周辺の中小ビルを巻き込んだ一体的な開発を企図した。 再開発計画は2013年6月に東京都によって策定されたが、