前方型認知症の患者さんが何人か入院しているが、その内1名は僕の担当患者である。彼女には、いわゆる「立ち去り行動」が見られる。 例えば診察時にちょっと油断すると席を立って出て行ってしまう。それは診察室に限らず、デイルームでも同じことが起こる。つまり2人で話しているとき、ちょっとした隙に立ち上がって、どこかに行ってしまうのである。 その隙とは、僕が処方箋を書いている時、あるいは看護師から僕に何か話しかけられている時に限られ、真に彼女と一緒に話している途中にはほとんど生じない。つまり彼女の注意が中断している時に起こる。 この「立ち去り行動」は前方型認知症の重要な症状の1つである。 これは前後の文脈を辿れば、「常同行動」を阻止されたことに対する反動という見方もできる。つまり彼女の病棟内の周徊中に診察室に呼んだため、話が途切れた時に、守備位置(定位置?)に戻るといった感じである。あるいは、単に1つの
統合失調症の幻覚や妄想を抑える薬を「抗精神病薬」と呼んでいる。今は使われなくなったが「メジャートランキライザー」というのもほぼ同じ意味だ。以下「メジャー」と略すことにする。 ほんの2、3年前までは抗精神病薬といえばドーパミン神経の「ブロッカー」のことで、セロトニン系やノルアドレナリン系を同時に一部分ブロックする等タイプは違っても、基本的には ドーパミン神経をブロックするのが抗精神病薬の作用だった。 ドーパミン神経はいくつかあるが、意欲や快感などに関係するドーパミン神経の一群をブロックすると、当然意欲が低下し、基本的に思考能力は低下し、メジャーを服用しながら普通に就労することはほとんど不可能と言っても良いように私は思う。 だから私は「メジャーは最後の手段」で、なるべく思考力を抑えない感情調整薬(躁うつ病の薬)やてんかんの薬をいろいろ組み合わせてイライラを抑えたり衝動をコントロールすることを目
ジャイアンACにも言えるのだが、ちょっとKYなジャイアンには「病的な思い込みの激しさ」という現象があり、その結果として「ファンタジーの内容に反応して現実の行動化が起こる」という非常に救いようのない事態がしばしば起こる。 例えば自分は「嫌われている」、「いじめられている」と思い込み、結果としてサポートしてくれていた人との関係まで相手にショックを与える形で自分から断ち切り、孤立への道をたどる。 通院を勝手に中断したり、治療の枠踏み自体も突然破壊したりするので、継続的なケア自体が難しい。 私も何度もトライしても結局本人のこの種の反応で治療の枠組み自体がキープできないで治療者としてギブアップしたケースが実際あった。 起こっていることは、ちょっとした不安や不信感から相手への攻撃的な思い込み、攻撃的なファンタジーが本人の中でエスカレートし、それを現実と完全に混同して「反撃」する形で関係をぶち切る、とい
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