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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (80)

  • 2021年に新種と判明したクジラ、残り約50頭で絶滅の危機

    メキシコ湾を泳ぐライスクジラ(Balaenoptera ricei)。以前はメキシコ湾ニタリクジラと呼ばれていた。(Photograph by NOAA Fisheries) 哺乳類の新種が発見されることは珍しい。ましてやそれが体長12メートルにもなるクジラとなればなおさらだ。 2021年、科学者らはクジラの新種を報告した。従来はニタリクジラの亜種と考えられていた「ライスクジラ」だ。 しかし、この胸躍るニュースは、悲しい知らせを伴っていた。メキシコ湾の一部に生息するこのヒゲクジラの仲間は、すでに絶滅の危機にあり、残る個体数は推定51頭だという。世界で最も希少な海洋哺乳類のひとつだ。 ライスクジラ(Balaenoptera ricei)の生息域は海上交通の往来が激しく、船の衝突や海洋汚染など常にいくつもの危険にさらされている。2010年のメキシコ湾原油流出事故では、生息域のほぼ半分が汚染され

    2021年に新種と判明したクジラ、残り約50頭で絶滅の危機
    deadwoodman
    deadwoodman 2023/02/08
    日本でもニタリクジラの分類が見直されてたような、と思って調べてみたら2003年にツノシマクジラというのが新種記載されたらしい。https://www.kahaku.go.jp/research/db/zoology/marmam/tsunoshima/index.php
  • 日本人がつくった自然の森――明治神宮「鎮守の杜に響く永遠の祈り」

    「よく、これほどの深い森が東京に残っていてくれた」 明治神宮について、しばしばこうした感想を耳にする。 しかし、一つ確認しておこう。実は、明治神宮の森は、天然林ではない。今から90 年ほど前に、当時の日の人々が、明確なデザイン意図と壮大な構想力をもってつくり上げた森なのである。 1912(明治45)年7月30日、明治天皇が崩御なされた。まもなく全国から「御聖徳をしのぶ」声が上がり、当時の帝国議会や経済界を動かして、明治天皇を祀(まつ)る神社創建の機運が生まれる。 そこで政府は翌年、「神社奉祀調査会」を組織し、候補地の選定に取り掛かった。富士山や筑波山、奥多摩なども含め、全国各地で40近くの地名が挙げられたが、明治天皇が東京に縁(ゆかり)が深かったことを念頭に、東京府内の陸軍戸山学校、白金火薬庫跡、青山練兵場跡(神宮外苑)、代々木御料地の4カ所に絞られた。 この代々木御料地こそが、現在の明

    日本人がつくった自然の森――明治神宮「鎮守の杜に響く永遠の祈り」
    deadwoodman
    deadwoodman 2020/05/04
    “3人が主木として選んだのは…常緑広葉樹だった。もともとこの地方に存在していた…各種の広葉樹木の混合林を再現することができれば、人手を加えなくても天然更新する「永遠の森」をつくることができると考えた”
  • 日本人が作った森 「明治神宮」 後編

    原宿駅付近から渋谷方面を望む。今から90年前は草むらや沼地ばかりの荒れた土地だったが(上)、現在は豊かな森が広がる(下)。 写真:明治神宮(クリックで拡大) 実際の森づくりは、まずこの土地にすでにある木を生かすことから始まった。将来の主木にするためカシやクスノキなどの常緑広葉樹が育つまでには相当な時間がかかる。それまでは、今ある木々を活用しようというわけで ある。 この発想をもとに考え出されたのが、前編で掲載した 「明治神宮御境内林苑計画」に記されている四つの段階の「森づくりの工程表」だ。 「明治神宮御境内林苑計画」は、造園家の郷が著したもので、森林造成計画の記録書であり、森林管理の指南書である。和綴(と)じにされ、歴史を感じさせるその書物をめくっていくと、「林苑の創設より最後の林相に至るまで変移の順序(予想)」とあり、50 年後、百数十年後の森林の変化が、4 段階の林相予想図として描か

    日本人が作った森 「明治神宮」 後編
    deadwoodman
    deadwoodman 2020/05/04
    宇大名誉教授谷本氏。“植生遷移の考え方をもとに、緻密な植栽計画と、100年先を見た樹林構成のモデルを描いている…350 種を超える樹種が植えられ、適者生存…森林生態学的に見れば、様々な樹種が混生する奇妙な森”
  • スピノサウルスの意外な尾を発見、実は泳ぎが得意だった

    スピノサウルス・エジプティアクスはオール状の尾を利用して推力を得ていたと考えられる。(MODELING: DAVIDE BONADONNA AND FABIO MANUCCI; ANIMATION AND TEXTURING: FABIO MANUCCI; COLOR DESIGN: DAVIDE BONADONNA, DI.MA. DINO MAKERS SCIENTIFIC SUPERVISION; SIMONE MAGANUCO AND MARCO AUDITORE; RECONSTRUCTION BASED ON: NIZAR IBRAHIM AND OTHERS, NATURE, 2020.) 奇妙な大型恐竜スピノサウルスにまつわる長年の謎に、一つの答えが示された。ほとんどの恐竜が陸上で暮らすなかで、この恐竜は船のオールのような尾をもち、水中を泳いでいたというのだ。研究成果は、4

    スピノサウルスの意外な尾を発見、実は泳ぎが得意だった
  • 万年氷が解けて古代の遺物1000点出現、ノルウェー

    2019年に撮影されたノルウェーのレンブレーン氷原。氷が解け、何世紀も前にこの地域を通った旅人たちが残した馬の糞が現れた。(PHOTOGRAPH BY ESPEN FINSTAD, SECRETS OF THE ICE) 始まりは、1800年前の衣服だった。ノルウェー南部の山の、氷が解けた跡から古代のウール製チュニックが発見された。貴重な遺物を同僚が梱包している間、考古学者ラース・ホルガー・ピロ氏は、もう1人の同僚とともに霧に包まれた氷の跡をたどっていった。 薄暗い中に目を凝らしたピロ氏は、気がついた。今、見ているのは、何百年もの間、日の目を見ることのなかった遺物の散らばる原野なのだと。壊れたそりや道具など、2000年近く前の生活の痕跡が、地球温暖化により急速に解けゆくレンブレーン氷原に点々と散らばって埋もれていたのだ。 「当に特別な物を見つけたことに気がつきました。大鉱脈を掘り当てたよ

    万年氷が解けて古代の遺物1000点出現、ノルウェー
  • 犬と馬に遊びの「共通言語」が存在、互いに噛むふりも、研究

    イヌとウマは進化的観点から言えば「敵」同士だが、家畜化によって平和的に共存することができるようになった。(PHOTOGRAPH BY HANNELE LAHTI, NAT GEO IMAGE COLLECTION) イヌが相手を遊びに誘う行動はわかりやすい。前脚を伸ばして頭を低くし、尾を振って、まるで「楽しもうよ!」と言っているかのようだ。それから2頭は、互いの動きに合わせるように追いかけあい、跳ねまわり、パンチを繰り出す。そこには大抵、私たちヒトが「笑顔」と解釈するような表情が伴う。 今回は新たに、イヌとウマがともによく似た行動をして一緒に遊ぶことが初めて科学的に示され、学術誌「Behavioural Processes」5月号に論文が掲載された。 何千年という家畜化の歴史のおかげで、今日、ウマとイヌは平和的に共存している。だが、進化的観点からすれば、彼らはうものとわれるものだ。それ

    犬と馬に遊びの「共通言語」が存在、互いに噛むふりも、研究
  • ギャラリー:ウイルスとの闘いで一時停止した世界で写真家が撮った日常 14点

    イタリア、ミラノ 「イタリアは今、制御不能な悲しい状況にあり、わたしは嵐の中心であるロンバルディ州にいます」と、写真家のルカ・ロカテッリ氏は言う。「ウイルスに対して特に脆弱なのは、わたしの母のような高齢者です。82歳の母は、頑固でタフで愛らしいイタリアのおばあちゃんです。母は、だれも自分に触れることができない状況を作っている、この目に見えない津波のことを理解できません。母を甥にも会わせず、抱きしめることもせず、マスクを着けるよう説得するのは悲しいことです。わたしはべものとカメラを持って母のところへ行きます。10日が経過した今、これがわたしたちの儀式であり、現実となりました」(PHOTOGRAPH BY LUCA LOCATELLI) マレーシア、クアラルンプール 「2020年3月21日の午後7時頃。プサット・バンダル・ダマンサラ駅(うちからいちばん近い駅)から、ラッシュアワーの列車が出て

    ギャラリー:ウイルスとの闘いで一時停止した世界で写真家が撮った日常 14点
  • 元祖スーパースプレッダー「腸チフスのメアリー」が残した教訓

    アイルランド出身の料理人メアリー・マローン。腸チフスが集団発生した際、初めて保菌者と特定された人物だ。メディアはマローンを「腸チフスのメアリー」と呼び、マローンの裁判と強制隔離は世間の注目を集めた。1909年ごろに公開されたこのイラストでは、マローンが頭蓋骨を割ってフライパンに入れている。(CHRONICLE, ALAMY) ジョージ・ソーパーはいわゆる探偵ではなかった。彼は土木技師だったが、公衆衛生の専門家のような存在になっていた。そのため1906年、米国ニューヨーク州ロングアイランドの家主が腸チフスの発生源の追跡に苦労していたとき、ソーパーに声がかかった。その夏、家主はある銀行家の家族と使用人にロングアイランドの家を貸していた。8月後半までに、この家に暮らす11人のうち6人が腸チフスに感染したのだ。 ソーパーは以前、ニューヨーク州の職員として感染症の調査を行っていた。「『エピデミック・

    元祖スーパースプレッダー「腸チフスのメアリー」が残した教訓
  • 外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明

    ネコがどこに行っているかについて、ほとんどの飼い主の予想は外れていた。2014年のノースカロライナ州での調査の様子を見てみよう。(解説は英語です) 「キャット・トラッカー」という大規模な国際プロジェクトの目的はシンプルだった。ペットのネコが、家の外でどこに行っているのかを調べることだ。 研究者たちは過去にも、自らの足で追跡するか(ご苦労さま!)、ネコの首輪に無線送信機を付けるかして、この難問に挑んできた。しかし、キャット・トラッカーはその規模において際立っていた。6カ国で900匹を超えるネコにGPS装置を1週間装着させ、彼らがどこへ行き、どのくらい広い範囲を動き回っているかを調査したのだ。(参考記事:「「キャット・トラッカー」が始動」) 調査開始から6年が経ち、ついに結果が2020年3月11日付けで学術誌「Animal Conservation」に発表された。そこで明らかになったのは、ほと

    外へ出たネコはどこへ行く? 大規模調査の結果がついに判明
  • 琥珀の中に史上最小の恐竜化石、異例ずくめ

    発見された新種の恐竜「オクルデンタビス・カウングラアエ(Oculudentavis khaungraae)」の頭骨。9900万年前、現在のミャンマーに生息していた。幅3.8センチ未満の琥珀のかけらに閉じ込められていた。(PHOTOGRAPH BY XING LIDA) 史上最も小さい恐竜の頭骨が発見された。ミャンマー産の琥珀の中に閉じ込められていたもので、大きさは現在生息する最小の鳥と同じくらい、生息時期は9900万年前と見られる。 3月11日付けで学術誌「Nature」に発表された論文によると、後頭部から口先までの長さはわずか1.5センチで、幅は親指の爪ほど。世界最小の鳥、マメハチドリとほぼ同じサイズで、体重は10セント硬貨(約2グラム)より軽かったと示唆される。 今回の恐竜は「オクルデンタビス・カウングラアエ(Oculudentavis khaungraae)」と名付けられた。研究によ

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  • 1億年前のハチの巣を発見、グループで最古

    1億年以上前、現在の南米パタゴニアに当たる地域に生息していたハチが、積もったばかりの火山灰の中に巣を作った。このグループとしては最古の痕跡だ。(COURTESY OF JORGE GENISE) 新たに発見された化石に、古生物学者らが騒然としている。1億年前の南米パタゴニア地方に生きていたハチの巣の化石だ。ミツバチをはじめ花を訪れる「ハナバチ類」としては最古の証拠だという。論文は1月29日付けで学術誌「PLOS ONE」に発表された。(参考記事:「3億年前の痕跡、最古の飛翔昆虫の化石」) この巣穴はブドウの房のような形をしており、幼虫が成熟するための小部屋と、それらをつなぐトンネルからなる。現生の昆虫のうち、こうした形の巣穴を作るのはコハナバチ科のハチだけだ。コハナバチ科は世界中に生息し、非常に多くの種がある。一部の現生種は、今回見つかった化石にそっくりな巣穴を地下に作る。 たまたま同じ構

    1億年前のハチの巣を発見、グループで最古
  • マルハナバチが絶滅に向かっている、原因は高温

    マルハナバチの一種(Bombus impatiens)。マルハナバチは、送粉者として不可欠な存在だが、多くの種は猛暑などの要因により危機にさらされている。(PHOTOGRAPH BY CLAY BOLT, MINDEN PICTURES) マルハナバチは、地球上で最も重要な「送粉者」の1つだ。毛に覆われた体でブンブン飛び回り、野生の植物はもちろん、トマトやブルーベリー、カボチャなどの農作物の授粉を担う。(参考記事:「花粉の運び屋たち」) しかし、マルハナバチは窮地に立たされている。新たな研究により、マルハナバチの数は昔よりはるかに減っていることが明らかになった。北米のどの地域においても、1974年以前に比べ、50%近く減少しているという。(参考記事:「北アメリカでマルハナバチが激減」) さらに、以前はよく見られた数種が生息地から姿を消し、局所的な絶滅が起こりつつある。例えば、カナダのオンタ

    マルハナバチが絶滅に向かっている、原因は高温
  • 2.3億年前のワニに近い動物「偽鰐類」の新種を発見、レア

    新たに発見された先史時代の爬虫類、ディナモスクス・コリセンシス(Dynamosuchus collisensis)。2億3000万年前の三畳紀に生息していた。その背中は2列の皮骨で守られていた。(ILLUSTRATION BY MÁRCIO L. CASTRO) ブラジル南部の山の麓で、発掘された岩塊を調べていた古生物学者のロドリゴ・ミュラー氏は、珍しい骨を見つけた。爬虫類や両生類のうろこの下層に形成される板状の骨、皮骨だ。 「驚きました。ブラジルでは、これまで一度も見つかっていなかったからです」と同国サンタ・マリア連邦大学に所属するミュラー氏は話す。思いがけない発見があった発掘現場は、最古級の恐竜が闊歩していた場所としても知られる。(参考記事:「最古級の肉恐竜を発見、完全に近い姿、ブラジル」) 氏は慎重にブラシで土を払い落とすと、無傷の頭骨や他のいくつかの骨の化石が姿を現した。これらの

    2.3億年前のワニに近い動物「偽鰐類」の新種を発見、レア
  • 100年前の日本を愛し、世界に伝えた女性記者

    着物姿の日女性と桜の木。エライザ・シドモアは後に、桜の木をワシントンD.C.にも植えようと尽力した。(PHOTOGRAPH BY ELIZA R. SCIDMORE, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 1883年、エライザ・シドモアは、アラスカ行きの郵便船に飛び乗った。 ワシントンD.C.での生活にうんざりしていた彼女は、ナチュラリストのジョン・ミューアがサンフランシスコの新聞に寄稿した感動的な風景に心を動かされた。米国は1860年代にロシアからアラスカの地を購入したが、そこを訪れた米国人はまだほとんどいなかった。恐れを知らない27歳の記者兼写真家は、未知なる大地を自分の目で確かめることに決めた。 シドモアは毎朝6時に起き、コーヒーとロールパンの朝をとると、オーロラを見たり、手紙を書いたりしながら1日を過ごした。後年、彼女はインタビューで、「水彩画のような風景

    100年前の日本を愛し、世界に伝えた女性記者
  • 「死にゆく島」の自然が劇的に再生、思わぬ大成功

    ヤギとネズミによって大きく変えられたレドンダ島の自然はかつて再生しないと考えられていた。(PHOTOGRAPH BY ED MARSHALL, REDONDA RESTORATION PROGRAMME) カリブ海西インド諸島に位置するレドンダ島は、周囲を高い断崖に囲まれた小さな火山島だ。島を覆う草むらにはカツオドリやグンカンドリの巣が点在し、その主たちが何十羽も頭上を飛び交うなか、島の固有種であるアノールトカゲの仲間(Anolis nubilis)や体長3cmにも満たないヤモリが、近くの日陰をうろついている。レドンダグラウンドドラゴン(Pholidoscelis atratus)と呼ばれる、体長15センチの希少な黒いトカゲはもっと大胆だ。こちらが数秒間足を止めている間に、スニーカーの上を群れが横切って走っていく。(参考記事:「世界初、立って漕ぐ小舟で大西洋単独横断に成功」) 島の固有種の

    「死にゆく島」の自然が劇的に再生、思わぬ大成功
  • バッファローとバイソン、チョウとガ、どう違う?

    米ミシガン州で撮影されたキタオポッサム。太平洋諸島に生息するポッサムとはまったくの別種だ。(PHOTOGRAPH BY STEVE GETTLE, MINDEN PICTURES) チョウは日中に舞い、ガは夜に飛ぶ。そう言われることが多いが、これがチョウとガを見分ける方法だろうか? そうではない、と米フロリダ自然史博物館で鱗翅目(チョウやガの仲間)の学芸員と准教授を務める河原章人氏は言う。 実際、日中に飛ぶガも、夜に活動するチョウも、とても多い。例えば、主に南米の新熱帯区に生息するシャクガモドキ科は、いわゆるガの特徴がすべて当てはまるチョウだ。翅は茶色のまだら模様に覆われ、触角の先は小さな棍棒状ではなく、夜行性。さらには、コウモリから身を守るのに役立つ聴覚器官も発達している等々。(参考記事:「コウモリを錯覚させて逃げるガ、進化の謎を解明」) だがその一方で、「DNAを調べた結果、実際にはチ

    バッファローとバイソン、チョウとガ、どう違う?
  • 「歩くサメ」実は9種もいた、異例の速さで進化

    レオパードエポーレットシャーク(学名Hemiscyllium michaeli)は、パプアニューギニア東部、ミルンベイのサンゴ礁で発見された、歩くサメの1種。(PHOTOGRAPH BY CONSERVATION INTERNATIONAL, MARK V. ERDMANN) サメは、何億年も前から世界の海を泳ぎ回っている。その間ほぼ変化していないものが多いなかで、ある奇妙なサメは進化を続け、なんと歩くことさえできるようになった。紹介しよう、「歩くサメ」Hemiscyllium属だ。 体長90センチほどのこのサメの仲間は、オーストラリア近海に生息し、その名のとおり胸びれと腹びれを足のように動かして歩く。海底ばかりでなく、干潮時には海面上に出たサンゴ礁の上を歩き回り、カニやエビ、小魚など見つかるものは何でも捕ってべる。(参考記事:「【動画】カレイは海底を器用に「歩く」と判明」) 「干潮の間

    「歩くサメ」実は9種もいた、異例の速さで進化
  • 【解説】最大級の淡水魚ハシナガチョウザメが絶滅

    生きたハシナガチョウザメ(Psephurus gladius)は2003年を最後に目撃されておらず、絶滅したと考えられる。捕獲や目撃例が少なく、写真をほとんど残さないまま早すぎる死を迎えた。(PHOTOGRAPH BY QIWEI WEI) ハシナガチョウザメ(Psephurus gladius)や近い仲間が地球上に登場してから2億年以上になる。中国、長江(揚子江)を生息域とし、体長7m以上になるこの魚は、想像を絶する大変動を生き抜いてきた。恐竜や首長竜などが大量絶滅した時代にも耐えた。顕花植物(花を咲かせる植物)が進化したのも彼らの登場以後であり、長江の川岸にも繁茂するようになった。 それから竹が、もっと後にはジャイアントパンダが登場した。さらにここ数千年で(進化の歴史ではほんの一瞬だ)陸地は人間であふれ、中国の人口は世界一になった。一方、ハシナガチョウザメは太古の昔と変わらず、長江の濁

    【解説】最大級の淡水魚ハシナガチョウザメが絶滅
  • 論争中の恐竜、実は若いティラノサウルスだった

    ティラノサウルス・レックスは、骨まで砕く巨大な肉恐竜だった。だが未成熟個体のものと見られる化石は、彼らが10歳代の頃には、ナイフのような歯を持つスリムで俊足の捕者だったことを示唆している。(ILLUSTRATION BY JULIUS T. CSOTONYI) 6600万年前、北米の大地には、王者ティラノサウルス・レックス(Tレックス)の足音が鳴り響いていた。Tレックスの化石は、白亜紀の地層から豊富に見つかっている。にもかかわらず、孵化してからあれほど巨大になるまでの成長過程については、これまでのところ手がかりが少なかった。 だがこのほど、未成熟なティラノサウルス類の骨の断面を詳細に分析した結果が、1月1日付けで学術誌「Science Advances」に発表された。論文は、Tレックスの成長速度がその時々で変化していたことを示唆。物が少ないときには成長を遅くすることができ、進化上の利

    論争中の恐竜、実は若いティラノサウルスだった
  • 最古級の肉食恐竜を発見、完全に近い姿、ブラジル

    新種の恐竜グナトボラクス・カブレイライのイラスト。肉恐竜としては最古の部類に属する。(ILLUSTRATION BY MÁRCIO L. CASTRO) 2014年、ブラジル南部の町で作業していた古生物学者ロドリゴ・ミュラー氏のもとに、近隣で発掘しているチームの仲間から見事な化石の写真が届き始めた。 「その時点でもう、大腿骨と頭、つまり頭蓋の一部が見えていました」とミュラー氏は振り返る。「この地で、このタイプの恐竜はほとんどありません。とても珍しい発見で、すごく興奮しました」 サン・ジョアン・ド・ポレジニの町で発掘されたその化石は、肉恐竜としては最も古い時代に生きたものの一つであることがわかった。およそ2億3000万年前、三畳紀の森に暮らしていたとみられる。ミュラー氏ほかブラジルのサンタ・マリア連邦大学とサンパウロ大学の研究グループは、この恐竜をグナトボラクス・カブレイライ(Gnath

    最古級の肉食恐竜を発見、完全に近い姿、ブラジル