ほかにもいろいろ考えてみたくなる
こんな話がございます。 伴山ト申す僧がございまして。 諸国を旅しておりましたが。 ある時、下総は須賀山ト申す地を、通りかかった時のことでございます。 四町ほど続く石垣が目に入ってまいりましたが。 そのほとんどが崩れかかっておりまして。 すみれ野原に、器のかけらが散らばっている。 どうやら、古い屋敷の跡らしく思われました。 その傍らに八十に近い老人が、火鉢にあたりながら藁靴を編んでおりました。 草の庵を結んで暮らしている様子でございます。 伴山が、上総への道筋を聞きがてら、 「ここはどちら様のお屋敷の跡でしょうかな」 ト、尋ねますト。 老人は、煙草の煙をくゆらせながら。 ゆっくりと語りだしたのでございます。 昔、ここは高塚沖之進ト申す武士の屋敷でございました。 高塚家は代々、この地の領主でございまして。 沖之進は隣国の姫君を奥方に迎え、つつがなく暮らしておりました。 その時、奥方はまだ二十一
こんな話がございます。 ご承知の通り、佐渡はいにしえより流刑の地でございます。 古くは順徳天皇、日蓮上人、能役者の世阿弥など。 様々な人物がこの島に流されてまいりましたが。 徳川様の御代となってからは、もっぱら町方の罪人の終焉地トなっている。 終焉地トはどういうことかと申しますト。 この地に流されたが最後、生きて帰ることはまずありえません。 まずは瓢箪責めという慣例から始まりますが。 これは、己の股ぐらに頭を突っ込むような形をとらせまして。 その形のまま、縄で厳重に縛り付けられるトいうもので。 この責め苦には、どんな悪人でも悲鳴を上げて、苦しがります。 中には、この時点で息絶えてしまう者もいる。 やっとのことで解放されますト。 実はここからが本番で。 三年三月の苦役を勤め上げれば、晴れてお赦しトなりますが。 まず、満期を迎えられる者がおりません。 針山のような鉱山を、裸足で歩き回らせられま
2016 - 08 - 10 【怪談】亀隠し 怪談 雑記 鬼だ逃げろと隠れん坊、巫山戯、飛び跳ね、駆け回る、矢庭に変易お天道は、 狐の嫁入り 土砂降りだ、てんでに散り散り逃げ惑い、何時の間にやら独りきり、御堂に駆け込み雨宿り、和郎故の六感か、嫌な気色に心付き、 御堂を覗くが空っぽで、屈んで覗く縁の下、闇がり慣れろと目を凝らす、闇がり 住いの薦被り、暗くて面様見えないが、牡丹餅あるよと囁いた、手招く御手々は真黒で、おいでおいでと囁いた、 和郎故の六感は、不穏な空気を感じ取り、一歩後ろに後退り 、逃げ出すために振り向くが、黒い御手々に 掴まれて、驚き腰抜け尻を着く、 縁の下から 高笑い、旨そな臭いだ、上物だ、こっちへおいでと囁いた、黒い御手々は足掴み、闇がり 陰へと引き摺った、既の所で柱に縋り、足掻いて脚を我武者羅に、暴れ引き抜き仕懸るが、脚に劇痛感取して、鼻も涙も小便も、弛み止まらず垂れ流
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