JAXA(宇宙航空研究開発機構)が2003年に打ち上げ、2010年に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」は、小惑星「イトカワ」から採取したサンプルを地球へ運ぶことに成功したことで知られています。アリゾナ大学のShaofan Che氏とThomas J. Zega氏の研究チームは、イトカワの元となった天体 (母天体) がかつて液体の水を含んでいたことを間接的に示す証拠を発見しました。 【▲ 図1: イトカワは一般的なタイプの小惑星であり、非常に乾燥していることで知られている。しかし今回の研究で、過去には豊富な水が含まれていることが明らかにされた(Credit: ISAS / JAXA)】イトカワは「S型小惑星」という非常に一般的なタイプの小惑星であり、地球に落下する隕石の67%はS型小惑星と同じタイプの岩石でできているとも言われています。 S型小惑星は、一言で表せば「カラカラに乾いた岩石」であり
【▲JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」が撮影した小惑星「リュウグウ」(Credit: JAXA)】グラスゴー大学のLuke Daly博士を筆頭とする研究グループは、地球の水の起源に関する新たな研究成果を発表しました。今回の研究では、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小惑星探査機「はやぶさ」が訪れ、微量ながらも地球へサンプルを持ち帰ることに成功した小惑星「イトカワ」(25143 Itokawa)のサンプルが用いられています。 研究グループによると、私たちが住む地球に存在する水の一部は、太陽から吹き出す太陽風によって生成された可能性があるようです。 ■太陽風にさらされた塵の表面直下で水分子が生成された可能性地球は太陽系の他の岩石惑星と比べて水が豊富で、表面の約7割が海に覆われています。地球の水の起源は長年に渡り研究の対象となっており、近年では初期の地球に有機物や水が豊富なC型小惑星や彗星が衝突
宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所長の国中均さん=相模原市中央区の同研究所で2018年3月、池田知広撮影 政府は今年秋の褒章受章者を2日付で発表した。国中均・JAXA宇宙科学研究所長(61)は、紫綬褒章に選ばれた。 ◇ 「私がやってきた『電気推進』の研究が認められ、大変名誉に感じています」 研究を始めた1980年代後半、宇宙探査機に推進力を与えるエンジンは、燃料を燃やして噴射する「化学推進」が主流で、電気エネルギーでイオンなどを加速させる「電気推進」は傍流だった。「ごくつぶ…
※この記事は2021年2月に実施したオンライン取材をもとに構成しています。 数多くのメディアに取り上げられ、映画化もされた小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクト。そのストーリーを知って胸を打たれた人は多いのではないでしょうか。 2003年に打ち上げられた「はやぶさ」は、地球の重力圏外にある小惑星に着陸してサンプルを持ち帰るという世界初の試みに挑戦し、通信途絶やエンジン停止などのさまざまな危機を乗り越えて2010年に地球へ帰ってきました。この快挙を成し遂げたプロジェクトチームの中心で活躍したのが、「はやぶさ」のプロジェクトマネージャを務めた川口淳一郎(かわぐち・じゅんいちろう)さん(現:宇宙航空研究開発機構[JAXA]シニアフェロー)です。 「はやぶさ」が宇宙へ旅立った後で一連の取り組みを詳しく知った人(おそらく大多数の人がそうでしょう)の目には、このプロジェクトは「約8年間の戦い」に映るか
小惑星探査機はやぶさ。Credit: 池下章裕JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」が2010年6月に地球に持ち帰った小惑星イトカワ表面物質のサンプルから、水の痕跡が発見された。研究成果を発表したアリゾナ州立大学の研究者によれば「地球や太陽系内側の惑星に存在する水と同じ組成」で、イトカワのような岩石質の小惑星が地球に水をもたらした可能性があるという。論文は科学誌Scienceの姉妹誌Science Advanceに2019年5月1日付けで発表された。 イトカワでサンプルが採取された「ミューゼスの海」。Credit: JAXA2003年に打ち上げられた「はやぶさ」は、小惑星イトカワを探査し、表面の物質サンプルを地球に持ち帰った。イトカワのサンプルは微細な破片が1500個以上あり、JAXAを通じて世界の研究者に提供され、現在でも分析が続いている。アリゾナ大学の研究チームは、5個の破片を二次元高分解
探査機「はやぶさ2」は21日、小惑星リュウグウへ小型探査ロボット「ミネルバ2」の2台を分離する。先代の「はやぶさ」では2005年、同じようなロボット「ミネルバ」を搭載していたが、小惑星イトカワへ着陸させることに失敗した。はやぶさのプロジェクトマネジャーを務めた川口淳一郎・JAXAシニアフェローから毎日新聞に、ミネルバの失敗を振り返り、ミネルバ2成功への思いをつづるメッセージが届いた。
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、公益財団法人鉄道総合技術研究所(鉄道総研)および東急テクノシステム株式会社(東急テクノシステム)は、列車の遅延回復と小惑星探査機「はやぶさ」の技術に端を発した電力デマンド制御に関わる手法を開発中であり、今回、その基礎検証のため、東京急行電鉄株式会社のご協力のもと、列車走行試験を行いました。 平成27年11月より、JAXA、鉄道総研および東急テクノシステムは、遅延回復と小惑星探査機「はやぶさ」の技術に端を発した列車の電力デマンド制御技術を、鉄道へ応用するための共同研究を行っています。 開発した制御手法は、最終的には、遅延を効率的に回復させる方法の確立を目指しており、それを実現するうえで制約となる電力デマンドを実時間で管理することを可能としています。本手法では、遅延量に応じて列車毎に優先度が設定され、電力デマンドを独立かつ並列に分け合うことで、
小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った「イトカワ」のサンプル分析で、1つの粒子に多数の微小クレーターが見つかった。イトカワ表面で天体衝突が起こった時に発生した微小破片により作られた二次クレーターだという。 【2016年9月8日 ISAS】 独・フリードリヒ・シラー大学イェーナのDennis Harriesさんたちの国際研究チームは、探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から採取し2010年に地球に持ち帰ってきたサンプルを詳細に観察し、大きさが1μm以下の微小クレーターをサンプルの表面に多数発見した。 イトカワ微粒子表面の微小クレーター(矢印の先)(提供:ISAS/JAXA) 微小クレーターには鉄ニッケル合金の破片がべったりとくっついており、これは鉄ニッケル合金の破片が高速で飛んできてクレーターが作られたことを示している。しかし、イトカワには鉄ニッケル合金の大きな塊は存在しないので、鉄ニッケル
国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の松本徹宇宙航空プロジェクト研究員が率いる研究チームは、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから回収し、地球に持ち帰った微粒子の表面模様を分析した結果、微粒子表面に40億年以上昔から現在に至るまでの歴史が刻まれていることを発見しました。 今回分析した微粒子は、数10マイクロメートルの大きさしかなく、さらに、その微粒子表面の模様はナノメートル(1ミリメートルの100万分の1)程度の大きさしかありません。研究チームはX線マイクロトモグラフィー(X線CT)や走査型電子顕微鏡を用いて、微粒子表面の微細構造を詳細に観察しました。その結果、これまでは一種類しかないと考えられていた表面模様のパターンは、少なくとも4種類あることがわかりました。 その中の一つは、イトカワ母天体に由来するものでした。小惑星イトカワは誕生時から現在の形状だったのではありません
2015年12月7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、探査機「あかつき」の金星周回軌道投入に5年ぶりに再挑戦し、成功を収めた。この5年間、日本社会の宇宙開発に対する見方には大きな変化があった。 宇宙開発では忘れ去られる「順調な成功」米航空宇宙局(NASA)アポロ計画の7号から17号までの有人飛行は、すべてが何らかの形で成功とされている。そのうち11号は、月面着陸の中継映像から流れた「これは人類にとって偉大な一歩だ」という言葉とともに、歴史の1ページとなっている。そして月周回軌道に入りながらも機器の異常により月面着陸を断念した13号も、地球帰還時の記録フィルムのみならず、トム・ハンクス主演のヒット映画を通じて、私たちに強烈な印象を残している。しかし他の9機については、月面着陸ばかりか宇宙飛行士の船外活動や軌道上の長期滞在にも成功しながら、一般の人々には印象が薄い。忘れ去られているといって
地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」で重要な役割を果たした、限られた電力を融通し合う省電力の技術を鉄道に応用しようと、JAXA=宇宙航空研究開発機構と首都圏の大手私鉄のグループ会社などが共同で研究を始めることになりました。 このため「はやぶさ」では、限度を超えそうになると必要性が低いヒーターを自動的に探し、一時的にスイッチを切ることで、限られた電力を融通し合ったということです。 こうした「はやぶさ」の省電力の技術を鉄道に応用しようと、JAXAと鉄道総合技術研究所、それに東急電鉄のグループ会社が共同で研究を始めることになりました。研究では、例えば、電車が数珠つなぎになった場合、後ろの電車の加速を抑えるなどして全体の消費電力を減らすシステムの開発を目指すということです。 「はやぶさ」の責任者を務めたJAXAの川口淳一郎教授は「私たちが提案する技術は、複雑なコントロールを必要としないため、社会
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は1月13日、小惑星探査機「はやぶさ」の技術に端を発した電力ピークカット制御関連技術を、家電メーカーや開発者向けに公開した。研究・開発の民生転用の活動の一環。 電力ピークカット制御技術を家電機器に応用するための通信情報をオープンプラットフォームで公開。赤外線による通信メディアをベースとして、多種の家電機器の電力を優先度をつけて同時に制御できる。多くの家電メーカーに採用されることを期待しているという。 同技術は「新電力EXPO2015」(1月28日~30日、東京ビッグサイト)でデモンストレーションを実施する。 関連記事 「はやぶさ」の電力制御を家庭にも、HEMSを使わずに最大電力を抑制 小惑星探査機の「はやぶさ」が地球に帰還して注目を集めたのは2010年のことだ。はやぶさでは限られた電力を有効に活用するために、各装置が消費する電力量を制御できる独自の技術を使っ
12月3日(水)13時22分04秒。 人工衛星「はやぶさ2」が打ち上げられます。 本来は11月30日打ち上げ予定で、天候の問題で延期になりました。 どんな種類があるのか。どこを回っているのか。 『現代萌衛星図鑑第2集』は、人工衛星の活躍を知ることのできる入門書です。 「全記録集」ではありません。 はやぶさ、かぐや、だいち、ひとみ、HTV、あかつき、はやぶさ2。 人工衛星の活動の中で、ドラマチックだった部分をピックアップ。構造の図解を載せながら、出来事を物語風に綴っていく本です。 成功事例やトラブルをあげていけば、自然と「どんな人工衛星なのか」がわかる。開発の歴史もわかる。 たとえば、陸域観測技術衛星「だいち」。寿命限界まで世界中の地形や災害を撮影しました。 特に東日本大震災の時は、東北の様子を克明に記録し、地上に届けました。 2011年5月12日午前10時50分、寿命により、活動を停止。
7年におよぶ約60億キロの旅を終え、2010年6月に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」。その後継機「はやぶさ2」が、種子島宇宙センターからH-IIAロケットによって打ち上げられる予定です。みんなの期待を背負い、小惑星1999 JU3に向かって、いよいよ旅立つ「はやぶさ2」。宇宙大航海への出航を目前に控えた國中均プロジェクトマネージャにお話を聞きました。(2014年掲載) 「はやぶさ2」の打ち上げが近づき、国民の期待が高まってきましたね。 打ち上げ前の「はやぶさ2」 小惑星1999 JU3と「はやぶさ2」のイメージ図 はい。でも、計画通り粛々と作業を進めていくことが技術的な成功の近道だと思っておりますので、応援いただいていることを知りつつも、あまり脇目を振らずに仕事をするよう心がけています。ただ申し上げたいのは、ロケットの打ち上げは、我々にとってはスタートラインに立ったに過ぎません。帰還する2
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