ファンビジネスのようなもの JR新宿駅東口を出て、北に歩いたところに広がる大歓楽街・歌舞伎町。ひときわ高層の建物にホテルや映画館、飲食店などが入居する新宿東宝ビルを目指して歩くと、通りには飲食店がひしめき合っている。新宿東宝ビルからさらに北に進み、細い通りに入っていくと、一般の飲食店は少なくなり、キャバクラやホストクラブなどが立ち並ぶエリアに入る。この一角に店を構えているのがニュクス薬局だ。 ニュクスとは、ギリシャ神話に出てくる夜の女神のこと。深夜に開いているこの薬局には、客がぽつり、ぽつりと入ってくる。女性であれば、処方箋を持ってくる人や、膣カンジダ薬を買い求める人も少なくない。 病院で処方された精神安定剤の調剤や、膣カンジダ薬などの第1類医薬品は、薬剤師の資格を持つ人がいなければ販売することができない。深夜でもこれらの薬を買うことができる薬局は貴重な存在で、歌舞伎町で働く人だけでなく、