2022年1月時点でダウンロード数206万回を誇る防災アプリ「特務機関NERV(ネルフ)」。今や“最強の災害情報インフラ”として知られる存在になった。アプリを開発したのは石巻市出身のホワイトハッカー、石森大貴氏だ。 ここでは、ノンフィクションライターの川口穣氏が「特務機関NERV」の開発秘話を綴った著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)から一部を抜粋。東日本大震災発生後、石森氏が立ち上げたツイッターアカウント「特務機関NERV」によって、節電作戦“ヤシマ作戦”が広まった背景を紹介する。(全2回の1回目/後編を読む) ◆◆◆ 節電時に自然発生的に使われ始めた言葉 このころ、東京には電力危機が迫っていた(編集部注:2011年3月12日)。 震災直後から、東北電力管内では最大約466万戸、東京電力管内では約405万戸の停電が発生して