生前に悪行をなしたものが死後に送られ、責め苦を受けるとされる「地獄」。燃え盛る業火(ごうか)や血の池、閻魔(えんま)大王など恐ろしい絵図が知られるが、近世には庶民の娯楽文化の影響を受けたユーモラスな「楽しい地獄絵」も登場するなど、そのイメージは広がっていった。今夏、さまざまな地獄絵が集結する展覧会が開かれる。 会場は、「ようこそ地獄の世界へ」から「憧れの極楽」まで5つの章で構成。漫画家、水木しげるの絵本『水木少年とのんのんばあの地獄めぐり』の原画で八大地獄をめぐる展示からスタートする。 続いて、平安時代に恵心僧都源信(えしんそうずげんしん)が六道(地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人間、天上)とその一つである地獄について著した『往生要集(おうじょうようしゅう)』の「建長五年(1253)版」をはじめ、六道や閻魔大王などに関する書物や絵画を展示。熊野信仰を庶民に広めた熊野比丘尼(びくに)が持ち歩いたと