アベノミクスとは何だったのか 正体つかめぬ政策、その本質は 安倍元首相銃撃 残された課題(下) 原 真人 朝日新聞編集委員 安倍政権に国政選挙6連勝という偉業を成し遂げさせ、憲政史上最長に導いた最大の政治的エンジン―。それは「アベノミクス」だったのではなかろうか。 いま安倍晋三・元首相の突然の死去を受けて、メディアやSNSにはアベノミクスの功績を称える論調があふれている。たしかに10年ほど前、日本経済に漂っていた沈滞ムードを振り払い、世界の目を日本に向けさせた試みではあった。多くの国民にはその記憶が刻まれている。 とはいえ2022年に入ってからの急激な円安と物価高騰であぶり出された日本経済の危うさは、アベノミクスが残した負の遺産の顕在化でもある。アベノミクスという劇薬は場合によっては経済全体を殺しかねない毒薬にも変わりうる。そのことを図らずも示すことになった。ならばその「罪」についてもきち