「たたき上げ」「改革者」とたたえられ、高い支持を得ていた菅義偉首相が誕生から約2カ月で迷走している。日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した問題が最大の要因だ。首相の側近で、問題のカギを握る官房副長官、杉田和博氏とは“因縁”がある元文部科学次官、前川喜平さんと、同省出身で教育・文化行政に詳しい寺脇研さんの2人に、毎日新聞の与良正男・専門編集委員が迫った。【構成・宇田川恵、写真・宮本明登】
菅義偉首相(C)朝日新聞社 前川喜平元文科事務次官(C)朝日新聞社 菅義偉首相が日本学術会議の推薦した委員の任命を拒否したことを受けて、学術界に激震が走った。政府からの独立を維持してきた学術界をも、菅政権は官僚と同様に支配しようと踏み込んできたからだ。いったい何が起こっているのか。元文部科学省事務次官の前川喜平氏が本誌インタビューで問題点を語った。 【アンケート】テレビを見ていて信用できないと思う人1位は「安倍元首相」2位、3位は…? * * * 今回の問題は菅政権で起こるべくして起こったという感じですが、手を出してはいけないところに手を出してしまいました。 安倍政権は人事権によって官僚や審議会を支配してきました。その中心にいたのが菅さんです。気に入らない人間は飛ばす、気に入れば重用する。これは彼らの常とう手段なんです。 私が事務次官だったとき、文化審議会の文化功労者選考分科会の委員の
インタビューに答える元文部科学事務次官の前川喜平さん=東京都目黒区で2020年3月19日、玉城達郎撮影 本誌は前号で、十全な総裁選実施なら石破首相誕生かと報じたが、党員投票なし、安倍政権への総括なし、菅義偉氏の政策への吟味なしで、菅政権が後継となる様相だ。それは安倍政権の内実強化政権であり極めて危険だと警鐘を鳴らす前川喜平元文部科学事務次官が、安倍―菅ラインの正体を暴く。 かつての自民党であれば石破茂氏を選んでいたであろう。病気を理由に突然辞任を発表した安倍晋三氏の後継首相である。コロナ対応だけではない。その基本政策・路線そのものが深刻な行き詰まりを見せていたからだ。出口なき異次元金融緩和政策、外交なき従米軍事抑止力至上路線、説明責任なき「モリ・カケ・桜」政治不信がそれである。 トップの顔を変えることは、その基本政策・路線に軌道修正を図る好機になる。金権・田中角栄の後にはクリーン・三木武夫
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