もし夏の参院選を乗りきれば、在任期間が歴代最長に届こうかという安倍晋三首相。通常国会が終わって来たる参院選に向け、政権の仕事ぶりが問われる今、首相に返り咲いてから6年半の「安倍外交」を総括しておきたい。 その総括は、「採点不能、よくて赤点」という厳しいベースから考えざるをえない。なぜか? 20年間、取材現場で日本外交を見てきた立場から述べる。 「採点不能」のわけ 評価のベースが「採点不能、よくて赤点」である理由は、安倍政権が官邸主導の名のもとに、日本外交に関する国民への説明責任を著しく劣化させたからだ。 自身の取材不足を棚に上げて「説明せよ」と叫ぶつもりはない。ただ、安倍政権は「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」や「戦後外交の総決算」など、なにかと外交をアピールしながら、歴代政権と比べると隠し事が多すぎる。ほんとうに国益にかなう判断や交渉がなされたのか、「経緯」をめぐる闇が広すぎるのだ。 特