米軍の戦闘機やヘリが頻繁に飛び交う沖縄の空を見つめる神谷誠人弁護士=沖縄県北谷町で2022年3月1日、喜屋武真之介撮影 2022年の年明け、一人の弁護士が活動の拠点を大阪から沖縄に移した。ハンセン病の元患者らの人権救済などに取り組んできた神谷誠人(かみや・まこと)さん(60)だ。弁護士登録から34年。残りの人生を「第三者行為論」という厚い壁に阻まれてきた、ある訴訟の弁護活動に尽くすという。3万5566人もの住民が原告として名を連ね、1月に沖縄で起こされたその訴訟とは。【那覇支局/遠藤孝康】 「ゴーーー」。静かなビーチに面した市街地に米軍戦闘機の爆音が響きわたる。神谷さんは1月、大阪から単身、沖縄本島中部にある北谷(ちゃたん)町に引っ越した。那覇市に構えた弁護士事務所まで車で約30分かかるが、あえてこの街を選んだ。「ここは『最前線』。騒音被害の状況を肌身で感じたいと思った」。常駐機約100機