安倍政治とは何であったか? 「外政」と「内治」の評価の乖離が示すその本質 歴代最長7年8カ月の執政に対する概略的な評価 櫻田淳 東洋学園大学教授 安倍晋三(内閣総理大臣)の辞任表明の後、既に様々な論評が出てきている。緻密な検証と評価は後日、様々に行われるであろうけれども、辞任表明から数日の当座の反応として示されているものには、興味深い傾向がある。 政治学者の中でも、特に外交・対外関係・安全保障を主軸として扱っている層からは、安倍の執政に高い評価が与えられているのに対して、内治・行政関係を扱っている層からは、総じて辛い評価が出ている。読売新聞の記事(8月29日)で、北岡伸一(東京大学名誉教授)と中北浩爾(一橋大学教授)が示した評価は、その一例であろう。 こうした安倍内閣におけるの「外政」と「内治」における評価の乖離(かいり)は、それ自体が「安倍晋三内閣とは何であったか」という問いに対する一つ