石破茂氏はなぜ、あの時の小泉純一郎氏になれなかったのか~自民党総裁選 ブレのなさで総裁の座を獲た小泉氏。石破氏の失速を招いたものは…… 曽我豪 朝日新聞編集委員(政治担当) 今日は政局話を書く。 政治家というもの、理詰めの演繹法では物事を考えない種族である。何が成功で、何が失敗か。体験や歴史にあたって、帰納法により現在進行形の政局の最適解を探ろうとする。 「あの時とそっくりだ」「いや、ここが違う」と議論が白熱するのは、なにも時間つぶしで昔話に興じているわけではない。政治家が切迫した様子で歴史を語り始めたら、それは政局の号砲だと思うようにしている。 政治家たちの昔話の行き先は…… 今回もそうだった。コロナ禍対応の混乱により内閣支持率が長期政権下でかつてない低迷に沈み、安倍晋三首相の健康不安説が浮上するや否や、万が一の「首相退陣後」の政局を巡るいつものながらの「頭の体操」と同時に、政治家たちは