歴代最長の7年8カ月続いた第2次安倍晋三政権では、公文書をめぐる問題が相次いだ。わたしは毎日新聞の「公文書クライシス」取材班のメンバーとして約3年半前から、国の文書管理の実態を取材している。班として証言を得た官僚は30人を超え、掲載した記事は100本近い。取材を通じて見えたのは、あらゆる手段を使って記録の公開を避けようとするすさまじい隠蔽体質だった。元々あったこの体質は安倍長期政権のもとでより強固なものになったように思う。あとを継いだ菅義偉政権は発足早々、独立性が重んじられている「日本学術会議」の会員の人選に政治介入して物議をかもした。菅首相は政権に批判的とされる6人の学者の任命を拒否しながら、「総合的、俯瞰的」に判断したという子どもだましの説明を繰り返し、経緯がわかる公文書の公開もこばんだ。菅政権のもとで隠蔽体質はさらにひどくなるのではないか。わたしは今、そう危惧している。 きっかけ 「