3カ月ほど前、5月末の当欄に、以下のようなことを書いた。 「世間にはオリンピック中止の声が満ち満ちている。だが日本は、欧米に比べて感染抑止に明らかに成功している。『秩序正しく行動し、約束を守る日本人というブランド』を、世界の多くは信じているのだ。大会に向けて研さんを重ねてきた、世界中の有名無名の選手たちを競わせてあげたいと願うのは、筆者だけなのだろうか」 開会式の前後には、他紙に以下のようにも書いた。
地方での行事の主催者の求めに従い、羽田空港で新型コロナウイルスの検査を受けた。抗原検査が1800円、PCR検査が1900円、両方なら3000円だ。前者は鼻の奥を綿棒でこするだけで、15分で結果が出る。後者は唾液の検査で、3時間後にメールで結果の通知が来た。筆者は両方とも陰性だったが、陽性の場合、ネットでの予約時に登録する、かかりつけ医に連絡が行くという。 2種の検査の結果は99%以上一致するそうなので、簡単な方の抗原検査だけでも、駅やオフィス街、学校、イベント会場、宿泊施設などで広く実施できないものか。関係の公的機関に今以上の負担をかけないよう、民間企業やコロナ患者を受け入れていない病院などを委託先とすればいい。ちなみに山口県ではすでに、全高校生と教職員を対象に一斉PCR検査を実施中だが、他所でも同様の工夫が増えてほしい。 …
モノの集約と経済の効率と成長に待ったをかけた新型コロナウイルスは、世界のあり様を一変させました。withコロナ時代には、経済も社会生活も、新しい価値を見いだすことが求められています。私たちがこれから迎える「新たなる日常」を生きるヒントを各界のパイオニアたちに聞く「ニューノーマル白書」。今回は、地域エコノミストの藻谷浩介さんに、日本人の「共同主観」(いわば思い込みの共有)のあり方について聞きます。小学4年生の時に自治体の人口変化に興味を持ち、大学時代には自転車で日本一周、社会に出てからも政府系銀行員でありながら数字(エビデンス)で事実を読み解き続けてきた藻谷さんの目から、コロナ禍の日本はどう見えるのでしょうか。 議論は「事実」ベースで行われなければならない ――コロナウイルスの感染拡大が起きてから、「数字で事実を読み取る」エコノミストとして、藻谷さんは何をお考えになっていましたか? 「みんな
オンラインイベント「ウィズ・コロナ時代」(1) 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、世界と日本の実態はどうなっているか、私たちの生活はどう変わるのかをテーマに、デジタル毎日のオンラインイベント「藻谷浩介さんと考える『ウィズ・コロナ時代』で世界はどう変わる」が8月6日に開かれた。地域エコノミストの藻谷浩介氏が詳細なデータを基に解説。モデレーターは毎日新聞の斉藤信宏・編集編成局次長が務めた。その様子を報告する。【経済プレミア編集部・平野純一】 100万人当たり死者数が多いのは 藻谷 私は地域振興の専門家として多くの講演や執筆を行っていますが、最近は新型コロナウイルスの問題について、さまざまなデータの分析をしています。現実に何が起きているのかを知るには、きちんと数字をとらえることが重要です。 斉藤 私は4月から編集編成局次長兼写真・映像報道センター長を務めています。1991年の入社です。本日
新型コロナの地政学(12) 長梅雨の7月が終わった。もし東京オリンピックが開催されていたら、意外な涼しさと前評判以上の湿度の高さに、来日客は驚いたかもしれない。行事なき4連休に漂った喪失感に加え、感染者急増の新型コロナウイルスへの不安で、すっかり落ち込んでいる方もおられよう。だが最新の数字に向き合う筆者には、いつまでも土砂降りの雨が続くとは思えない。 新規陽性判明者数と死亡者数の関係 そもそもの疑問は、「6月下旬からの陽性判明者再増加にもかかわらず、なぜ7月半ばを過ぎても日本の死者数は増えないのか」ということだった。そのうちに、同じ事態は日本以外でも起きていると気付いたのである。 図の四つのグラフはいずれも、3月以降の毎日の、新規陽性判明者数を赤線で、死亡者数を青線で示している。前後7日間の移動平均とすることで細かい変動を消し、かつ4月ごろの最初のピークの最高点が同じ高さになるように、左右
上海の浦東地区の夜景。人口2000万に以上の大都会で新型コロナによる死者は非常に少ない(2014年9月4日、筆者撮影) 新型コロナの地政学(11) 新型コロナウイルス問題は「欧米の危機」から「メガシティーの危機」へとステージを移しつつある、と言われる。そのような中で日本でも、東京や大阪などの大都市から、再度感染が拡大しつつある。この現象を世界と比較した場合、深刻さはどの程度なのだろうか? そして世界で最も安全な大都市は、どの国にあるのだろうか? 都市別・州別などで分析可能に ウイルスの感染拡大が世界的に進み始めてから5カ月。米国ジョンズ・ホプキンズ大学(JHU)のサイトでは、陽性判明者数や死者数の地方別の内訳が示される国も増えてきた。米国の場合にはカウンティ(郡)単位の細かい数字が取れるが、日本に関しても都道府県別の数字が示されているし、もう少し粗いが州別の数字が確認できる国も多い。今回は
世界中からの観光客でにぎわっていた米国ラスベガス中心街。現在の陽性判明者数は当市と周辺だけで日本全体を上回る(2018年4月7日、筆者撮影) 新型コロナの地政学(10) 国ごと、地域ごとの感染状況に著しい差のある、新型コロナウイルス。加えて注目されるのが、死亡率(=陽性判明者数に対する死亡者数)にも、場所によって極端な違いがあることだ。このウイルスの、本当の怖さはどのようなものなのか。 「Go To キャンペーン」は大丈夫か 新型コロナウイルスの感染は、地球規模で拡大中である。毎日新たに陽性と判明する人の数は、20万人を超えるようになった。ちなみに、その3分の1にあたる6万人以上が米国民だ。日本国内でも、これまでで最悪だった4月中旬と同程度まで再び増加している。 そんなところに、東京都の発着を除くとはいえ、「Go To キャンペーン」など仕掛けて大丈夫なのだろうか。官邸の発想を代弁すれば、
新型コロナの地政学(9) 国内の新規陽性判明者数は、ゴールデンウイーク明けから1日100人を切っていたが、6月末より再び100人を超えている。だがあわてる前に、全国の数字だけでなく、地域別の数字も確認してみてはどうだろうか。 日本をひとくくりで考えると間違う 北九州市と広島市。ともに人口100万人前後の工業都市で、新幹線なら50分の距離だ。海沿いの狭い平地に、工場と繁華街が集積し、住宅が丘陵地をはい上る都市構造も似ている。しかし7月6日現在の新型コロナウイルス陽性判明者数の累計は、北九州市が252人に対して広島市が86人と、3倍近く違う。同じウイルス、同じ国内でなぜ差が出るのか。 筆者のような医学が専門ではない者がコロナ問題を分析することに対し、いろいろ批判をいただく。だがむしろ、感染症の知識だけで、個別の地域特性に対する知見なしに、国内外双方で地域差の大きいコロナ禍の現実を読み解くことは
新型コロナの地政学(8) 新型コロナウイルスの毎日の陽性判明者数が、最悪時でも人口100万人当たり5人で、5月中旬以降、6月中までは1人を切っていた日本。一時期80人に迫っていた欧州の旧西側諸国や、最近100人を超えてしまった米国に比べて、封じ込めに成功した結果、国内に免疫はいきわたっていないと考えられる。対極が北欧のスウェーデンで、「集団免疫」の獲得を目指し、同じ数字が100人を超えても一貫して経済活動を止めない。これは正しい選択なのだろうか? 介護施設の高齢者が犠牲に 感染から回復して免疫を持つ人が一定割合を超えると、その後の感染拡大は自然に封じられる。これが「集団免疫」だ。同国のストックホルム大学の試算では、新型コロナウイルスの場合、この水準に達するのは40%だというのだが、スウェーデン当局はその獲得を目指す戦略を取り、他の欧州諸国が行ったような厳格なロックダウンは実施してこなかった
人口当たりの陽性判明者数を低位に抑えているオーストラリア(メルボルンの都心商店街、2018年12月20日、筆者撮影) 新型コロナの地政学(7) 新型コロナウイルスの毎日の陽性判明者数がおおむね60人程度と、4月中旬の10分の1になった日本。入院中の患者数も最悪期の10分の1となったが、一方で「秋以降の“第2波”到来に備えて」と多くの人が口にするようになった。はたして日本に“第2波”は本当に来るのか。世界各国の対応を見ながら、この問題を考える。 寒くなると再び流行するのか この特別連載の第3回で紹介した国立感染症研究所の調査「新型コロナウイルス SARS-CoV-2 のゲノム分子疫学調査」によると、1月に中国人観光客が持ち込んだウイルス(中国経由・第1波)は2月中に封じ込められたが、3月に欧米から帰国した日本人の持ち込んだウイルス(欧米経由・第2波)が感染拡大した。 欧米経由のウイルスは、中
ニューヨーク・サウスブロンクスの地下鉄駅。ブロンクスはニューヨークのなかでも特に死者数が多い(2017年10月5日、筆者撮影) 新型コロナの地政学(5) 緊急事態宣言の解除で、緩んだ空気が流れ始めた日本。一方、テレビの画面からは、米国の街頭での暴力沙汰の映像が流れてくる。人口3億3000万人を数えるこの巨大国家の新型コロナウイルス感染状況は、いまどうなっていて、これからどうなっていくのか。主要大都市圏の数字を分析してみると事態は深刻で、収束もまだまだという実態が見えてくる。 4大プロスポーツの本拠地を見る 米国は50の州からなる連邦国家だ。各州は多数のカウンティ(郡)に分かれている。それに対し市・町・村は、歴史的経緯や、その地域の実情に合わせて置かれていて、どの市町村にも属さず郡だけに属する地域も多い。 そのような米国は、経済面や生活面では、州ではなく大都市圏の集合体ととらえた方が実態に合
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アルゼンチンでも感染は拡大している(首都ブエノスアイレスの低所得者地区、2018年1月6日、筆者撮影) 新型コロナの地政学(4) 日本への新型コロナウイルスの感染拡大は、中国経由の第1波を3月前半までに封じ込めに成功し、欧米経由の第2波も何とか抑え込みつつある。新規感染者数も減っている。だが日本の事態はこのまま無事に収束するのか? 大きな鍵を握るのは途上国だ。 人口当たり死者数と直近の感染拡大を比較 この特別連載の第1回と第2回では「欧米に比べて、日本の人口当たり死者数は著しく少ない」と指摘した。だが、第3回に示した通り「西太平洋地域内では、日本はむしろ感染抑止の“劣等生”」だ。「日本モデルの底力!」などと自己満足に浸っている場合ではない。「日本モデル」の考察は、特別連載の最終回まで先送りするとして、今回は途上国に目を向ける。 図は、現状を押さえておいた方がいい国・地域を網羅した。縦軸は前
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