チェルノブイリ事故による遺伝的影響は「認められず」 高い線量を浴びた親から生まれた子130人のDNAを分析してわかった重要成果 高橋真理子 ジャーナリスト、元朝日新聞科学コーディネーター 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故で被曝した親から生まれた子ども130人を調査し、放射線による遺伝的影響は見られなかったという研究報告が『サイエンス』2021年4月22日号に発表された。東京電力福島第一原子力発電所事故よりも格段に多い放射性物質がまき散らされ、事故処理作業にあたったリクビダートル(ロシア語で「後始末をする人」)と呼ばれる人たちの中には事故から3カ月以内に急性放射線障害で亡くなった人が28人いて(1996年にEC/IAEA/WHO共催で開かれた国際会議報告)、その後彼らの間でがんが過剰に発生したことも確かめられている。しかし、その人たちから生まれた子どもたちのDNAには影響が認められな