農作物の品種を芸能人に例えてみると、いま我々が置かれた状況と課題が浮き彫りになる。 テレビや雑誌などを通じて、コンサートや舞台といったリアルな接点をもたなくても、芸能人について知る機会はこれまでもあった。加えて近年では、本人のSNSによって直接プライベート写真はおろか動画までもが拝めるのだから、ファンにとってはうれしい時代である。芸能人側も、自分の才能を好きな形で世に問えるようになったことを、歓迎しているに違いない。 さて、これを野菜の品種に置き換えてみたらどうなるだろう。 「売れない」「安値で利益が出ない」「国内産の生産量が減っている」と、仕事で野菜に関わる者の間では暗い話ばかりが口をついて出てしまうけれども、冷静に受け止めたいのは消費者がこの問題をあまり気にしていないという現実だ。 すなわち野菜を取り巻く現状をいくら一生懸命伝えても、消費者の共感はなかなか得られない。見方を変えれば、ウ