生まれつきの違いは問題ではなさそうだ ハーバード大学前学長のサマーズ(Lawrence Summers)は2005年,科学技術分野のトップに女性がいないのは男女の生まれつきの差が原因だというような発言をして辞職に追い込まれたが,そのとき引用されたのが「男性は女性よりもばらつきが大きい」という仮説だ。それによると,平均的には男女に数学的能力の差はないが,男性は能力のばらつきが大きい。つまり,男性は数学につまずく人の割合も大きいが,脳の発達の仕方か何かが原因で,数学に秀でた男性の割合も同じくらい高いという。 数学コンテストの勝者がほとんど男子であることや,一流大学の数学科は女性よりも男性が圧倒的に多いのは,この仮説で説明できると考えられてきた。しかしその後,このばらつき仮説が科学的に検証され,説得力に乏しいことが明らかになった。 52カ国の数学成績データを解析 これまでで最も意欲的な研究は,ウ