もう「お客様は神様」ではなくなりつつある今、今回の騒動は“氷山の一角”です。 「個人の尊厳が守られていない」 2022年7月、JR山手線で、自分の財布を拾おうと駅員の静止を振り切って非常停止ボタンを押した乗客と、それを強い口調で攻める駅員との口論の様子がSNS上にアップされ、物議を醸しています。そのなかで優勢となっているのが、乗客による理不尽なクレーム行為、「カスハラ(カスタマー・ハラスメント)」ではないかといった意見です。 この「カスハラ」、鉄道業界を始めとする交通運輸・観光産業では、大きな問題となっています。たとえば、同業界で働く約60万人が加盟する全日本交通運輸産業労働組合協議会では、業界2021年5月~8月に「カスハラ」の悪質クレームに関するアンケートを、業界従事者2万人超に実施。これによると、回答者の46.6%は「カスハラ」経験があり、とくに鉄道、バス業界などでは被害経験11回以