桜田義孝前五輪担当相の失言辞任で、安倍晋三首相は「任命責任は私にある」と言った。閣僚不祥事のたびに口にするセリフだが、これまで責任を取ったことがあるのか。「任命責任」とはそもそもどんな責任なのか。【江畑佳明】 桜田氏の一件で首相は4月10日夜、記者団に「任命責任はもとより私にあり……」と述べた。12日の参院本会議で牧山弘恵議員(立憲民主)が「任命責任をどう取るつもりか」と具体的な中身を問うと、首相は「全閣僚が一層身を引き締め、総力を挙げて復興に取り組むことで責任を果たす」と答弁した。 学習院大の野中尚人教授(比較政治学)は「復興は大切だが、任命責任を果たすことはまた別の問題だ」と指摘する。首相の任命責任は憲法68条に由来する。1項で首相が大臣を任命、2項で罷免できるとする。