国立歴史民俗博物館助教授◆青山宏夫今年の夏、日本海という呼称をめぐり議論が起こったが、まずは呼称の歴史的事実を冷静に見極めるべき。今から400年前、イエズス会のイタリア人宣教師マテオ=リッチが作製した『坤輿万国全図』には、すでに漢字で「日本海」と記載されており、その呼称はのちに西洋から日本に輸入されて普及したものである。 日本海という呼称をめぐる最近の事情今年8月から9月にかけて、テレビや新聞などで日本海という呼称の是非についての報道が相次いだ。ことの発端は、海図の国際的な指針を定める国際水路機関(IHO)が、韓国の主張を容れて、これまで国際的に使用されてきた日本海という呼称を白紙に戻すという提案をしたことだ。日本はこの提案の撤回をもとめて直ちにIHOに抗議した。また、これと前後して開催された第8回国連地名標準化会議でも、韓国と北朝鮮はこの呼称に異議を唱えたが、ここでも日本は反論した。 結