紀伊國屋じんぶん大賞入賞作『水中の哲学者たち』で話題の永井玲衣さんによる新連載「ねそべるてつがく」。つねに何かを求め、成長し、走り回らなければならない社会の中で、いかにして「考える自由」を探し求めることができるのか。「ただ存在するだけ運動」や「哲学対話」を実践する哲学者がつまづきよろめきながら、言葉をつむいで彷徨います。「考える」という営みをわたしのものとして取り戻す、新感覚の哲学エッセイ! 目の前のひとの顔を眺めながら、わたしはこのひとの血を見たことがない、と思った。 あなたはつまらなそうに疲れたため息をつき、ぱらぱらとせわしなく新書のページをめくっていた。一ページ、二ページと進んだあと、やけに丁寧な手つきで一ページ、二ページ、三ページと引き返し、しばらくじっと見つめたあと、何の意図もなさそうにばらばらばらばらばらっと勢いよくページをめくり、もう一度ため息をついて本を机の上に載せた。あの
2021年の総選挙で共産党のマンガ・アニメの表現に関する政策が話題になった。 その際に、ぼくも記事を書いた。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com ぼくは「カジを切っていない」とは結論づけた。しかし叙述が乱暴すぎる、と批判した。 この記事を書いた他に、共産党の中央に意見も出した。 総選挙が終わってしばらくしてから、共産党のある街頭演説をぼんやり聞いていたとき、演説を終えた、にひ そうへい元参議院議員がぼくのところにやってきて、「紙屋さん、あなたの意見を読みましたよ! 中央の担当部署でも共有しています」と笑顔で話しかけられた。演説後の非常に短時間ではあったが、「ぜひ今度話しましょう!」と、にひ元議員から言われた「あ、読まれてるんだ」と思った。 さらに、田村智子政策委員長が講師を務めるジェンダー問題の学習会があり、質問・意見を募集していたので、遠慮なく書いて出した。 上記
Q.〈航空機では女性CAのほうが安心する〉というような刷り込まれたイメージは、私の中でもなかなか消えません。やっぱり急には変えられないような……。 そんなイメージは、この数十年であっという間にできただけです。 前回も言ったとおり、CAはサービス業ではなくて保安要員ですよ。緊急時に保安要員として動かなきゃいけない時に、ヒールの靴なんて履いていられないでしょう。 もちろん、あの人たちは保安要員としての訓練をちゃんと受けてるけど、緊急事態はめったに起きないので、普段はサービス業者。 平時には、女が相手のほうが物を頼みやすい、男には頼みにくい、という顧客側のジェンダー観があるんでしょう。 CAが女だと安心って言うけど、じゃあパイロットは女だと安心? Q.なんか怖いかも。 それも偏見ですね。宇宙飛行士に女性がなる時代だというのに。 Q.……。やっぱり自分の中で偏見がずっと残ってるんですかね。 初期の
『社会学評論』*1の72巻4号で、「ジェンダー研究の挑戦」という公募特集*2が組まれています。この記事ではそこに掲載されている千田有紀さんの論文「フェミニズム、ジェンダー論における差異の政治」について、私の簡単な感想を記しておきます。 千田さんはこれまでも(ご本人の意図はどうあれ少なくとも結果としては)トランスジェンダーに対する差別的な言説をエンカレッジしてしまうことになるような文章を書いてきており*3、その事情を知る人たちの間には評論掲載の論文もそうなっていないかという懸念がありました。実際に読んで、残念ながらその懸念が払拭されたとは言い難いという感想を私は持ち、そしてそのことは日本社会学会の会員として表明しておくべきだと考えました。 1. 論文の構成に関する問題 トランスジェンダーについての記述について検討する前に、私にはそもそも千田論文の構成がよく理解できず、結論として何が主張されて
ーーこれまで『人民新聞』は、関西地域に根ざすとともに国際情報も幅広く届けてきた。韓国に関連する情報を『人民新聞』で発表するにあたり、単に韓国の現状リポートに留まらず、読者の現場での課題に直結し、現場で活用できるような議論の紹介につとめたい。(編集部) 影本 剛(大学非常勤講師) 『根のないフェミニズム』の問題から 今、日本で「韓国のフェミニズムと連帯する」という時、それはいかなるフェミニズムなのか。「韓国のフェミニズム」なる一枚岩があるわけでもない。たんにフェミニズム的なものに何でも飛びつくのであれば、市場原理主義や嫌悪と結びつくフェミニズムに簡単にからめとられてしまう。 これは憂慮ではなく、現在起こっている事態を批判的に考えるために必要なことだ。以下に日本語に翻訳された『根のないフェミニズム』(アジュマブックス、2021)がかかえもつ問題を糸口にして、この問題を論じていきたい。 最も問題
最初に答えを書いてしまうと、彼らが議論の前提を認めないからです。 ※トランス差別的な内容が多分に含まれます。閲覧にはご注意ください。 ※トランスジェンダー問題とかよくわからん! という方はとりあえず↓こちらのまとめをご覧下さい。このエントリーではトランスに関する知識について詳しくは解説しません。 togetter.com これは「イデオロギー闘争」ではない 一ヶ月ほど、Twitter上でのトランスフォーブ(トランスジェンダー差別主義者*1)と論争を繰り返していたのですが、彼ら彼女らは自分たちの主張を「政治運動」や「イデオロギー闘争」の一種と考えており、自らが正義側だと信じていました。典型的な例として、以下のようなツイートが挙げられます。 図式化してみました。♀♂は生物学的な性別を指しています。 性別で分けられているスペースは、原則としてこのように分けられています。 ですが、例外として ・オ
クィア理論・クィア政治の源流はどこにあるのか。それはどのような経緯で、トランスジェンダリズムというかたちをとってレズビアンおよび身体的女性の権利を脅かすに至ったのか。日本のジェンダー学の世界ではクィア理論が隆盛を誇り、今のところそれを批判する論考等が公表されることはありません。ですが海外には、勇気をもってトランスジェンダリズムの源流に切り込んでいくフェミニストたちがいます。 以下はフェミニスト理論家シーラ・ジェフリーズさんの、2020年6月6日の「女性人権キャンペーン(WHRC)」の国際ウェビナーにおける発言を翻訳したものです。 WHRC Webinar 6 June 2020 本日、私が論じたいのは、クィア理論とクィア政治(クィア・ポリティクス)が、ゲイ男性の政治・文化・性的関心から構成されているということだ。どちらも、1970年代と1980年代に男性の性的権利に対する強力な挑戦を発展さ
最長21カ月間、社会と隔離され、世の中の変化や最新情報を手に入れることができない。男性が徴兵制で2年余りの時間を失う一方、女性は男性より一歩早く社会に出ることができる。このようなことから、韓国の若者は徴兵制に不平等を感じているのだ。20代の男性は男女平等を訴えるフェミニストに対し「だったら、女性も徴兵に行け!」と怒りをあらわにすることをよく聞く。 "不平等"を解消するはずの制度もなくなった 徴兵制が生み出す不平等を解消する制度として、かつては「軍服務加算点制度」が存在した。これは、公務員採用試験などに兵役期間が2年以上の男性には5点、2年以下の男性には3点の加算点を与える制度である。 しかし、1999年、憲法裁判所(最高裁)は同制度が性別による差別につながるという趣旨で違憲判決を下した。廃止から23年が過ぎた今も軍服務加算点制度の復活を求める若い男性の声は根強い。 ある20代の男性は制度廃
ハラスメント行為を受けたあとも、被害者は延々と続く日常を生きていかなくてはなりません。フェミニズム批評家として積極的に執筆・発信されている北村紗衣さんに、女性研究者としての体験や、2021年3月末のtwitterでの誹謗中傷事件とその後も止まらない二次被害、ミソジニーへの対処の仕方、死にたくなる前にみておくべきサバイバルのための映画、おすすめフェミニズム本などについてお話を伺いました。 北村紗衣さんプロフィール 1983年、北海道生まれ。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。東京大学の表象文化論にて学士号・修士号を取得後、2013年にキングズ・カレッジ・ロンドンにて博士号取得。現在、武蔵大学人文学部英語英米文化学科准教授。ウィキペディアンとしても活動。著書に『批評の教室』、『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』、『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』、訳書にキャトリン・モラン『女
専門家からは「女性たちの安全を守る」ことを“名目”にしてトランスジェンダー女性を排除することはやめてほしい、という声が上がっています。
プロフィール ・30代前半 ・睾丸摘出術手術済(男性ホルモンが出るのが嫌なため) ・将来的な性別適合手術は考えていない ・他人に自分の局部を見せることは日常に無いし、戸籍上の性別を変えるためだけに身体に重いリスクのある手術を受ける気はない ・日常生活では100%女性として生活 ・見た目はほぼパスしている(と思っている) ■トイレについて ・職場では、特にカミングアウトしていないが、声は無理に作っていないので、職場のみんなは多分私がMtFだと知っている(と思っている)。 ・職場では、自分が女子トイレを使うことが会社や社会から認められるかどうかはともかく「職場で自分のことを知っている女性とトイレで会ったりして不快な思いをさせるかもしれないのが嫌」なので多目的トイレに行っている。 ・職場以外の場所では、基本的に声を出すことも無いし、一時的になら声を作ることも出来る(ずっとやると疲れる)ので、女子
泣きそうになりながら自分史を書いた ――わふこさんは性別適合手術を受けられていて、前段階となるホルモン療法などについては単行本、手術についてはTwitterでその詳細が描かれています。ホルモン療法を受けるには性同一性障害の診断が求められ、医師の面談と共に自分史の作成などをするとのことですが、自身を見つめ直すことでいろいろな感情が噴出してくるのではないかと思ったのですが……。 わふこ ちょいちょい泣きそうになりながら書いてた。 つしま あ、泣いてたっけ? あんまり覚えてないんだけど。 わふこ 号泣までじゃなかったけど。思い出して書かないと、前に進めないから。避けては通れない道みたいな感じ。でも、なんとか書いて。 『夫は実は女性でした』より コロナ禍での通院、手術 ――コロナ禍で来院頻度を少なくするために、ホルモン注射からパッチを貼ることに替わったそうですね。注射とパッチでは、効果にそれほど差
一方、こうした動きへの反発も目立ち、「自称トランスジェンダーが男性器がついたまま温泉や女性用トイレなどを使い混乱する」といった言説も繰り返されている。 そんな中、元参議院議員、松浦大悟氏が4月23日に発表した論考「国会で性別の定義変更の議論が始まろうとしている」も同様の主張を展開。当事者や専門家から「トランスヘイトを助長する」と批判の声が上がる。 BuzzFeed Japan Medicalは、当事者や弁護士、GID(性同一性障害)学会理事長、LGBT議連事務局長に取材し、こうした言説を検証した。 トランスジェンダーを含むLGBTの権利を保障する法整備の動き日本で2003年に作られた「性同一性障害特例法」は、生まれ持った生物学的な性別に違和感を抱く人に、身体変更や生殖腺切除などを要件として戸籍の性別変更を可能とする法律だ。 WHOは2018年6月「国際疾病分類」の最新バージョン(ICD-1
「自分は女だ」と言って、男性が女湯に入ってくる――。こんな説明を基に、トランスジェンダーの女性を攻撃する動きが広がっている。ここ数年、公衆浴場やトイレなどの女性専用スペースを使うことを問題視する声はネット交流サービス(SNS)で飛び交っていた。それがとうとう国会議員の勉強会でも取り上げられ、政策決定に影響を及ぼしかねない展開になってきた。はっきりさせておくと、こうした主張は明らかに間違いで不当な攻撃だ。専門家に聞きながら、それを解きほぐしていきたい。【藤沢美由紀/デジタル報道センター】 トランスジェンダーとは、出生時の戸籍の性別とは異なる性別を自認する人を指す。出生時の戸籍の性別が男性で、自分を女性であると認識している人なら「トランス女性」だ。今までトランス女性への攻撃は主にネット上で展開されてきたが、オフライン、しかもあろうことか永田町に飛び火した。 「トランスジェンダー女性が、女性にと
ジャーナリスト・崔 碩栄 「国軍の日」記念式典で披露する演技を事前公開する韓国軍の女性兵士たち(本文と直接関係はありません)=2017年9月25日、韓国京畿道平沢市【EPA時事】 3月初旬、韓国で一人のトランスジェンダー(心と体の性が一致しない人)が自ら命を絶った。 その死が韓国社会で注目を集めた理由は、過去にあった。彼(彼女)は下士官として韓国軍に服務中の2019年に休暇を取り、タイに出国。性転換手術を受けた後、韓国に戻り、女性軍人として服務すると申し出たのである。 韓国軍にとって前代未聞の事態に、軍指揮官たちは困惑した。温情とマイノリティーに対する配慮より、厳格な規律と秩序が重視される「軍隊」という特殊な環境において、トランスジェンダーの服務希望は、完全に想定外だったのだ。 世界的なLGBT(性的少数者)運動の台頭により、儒教思想の影響を色濃く残す韓国社会の価値観も大きく変化したとはい
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高橋芳朗さんが2020年9月22日放送のTBSラジオ『アフター6ジャンクション』に出演。カーディ・Bとミーガン・ジー・スタリオンのコラボ曲『WAP』が全米に巻き起こした論争について宇多丸さんと話していました。 (宇多丸)ということで、先ほども名前が出ていました。ラッパー、カーディ・Bの新曲『WAP feat. ミーガン・ジー・スタリオン』。これが物議を醸している話なんですけども。まず、カーディ・B……。 (高橋芳朗)改めて紹介しますと、カーディ・Bはストリッパーからラッパーになり上がったという異色のキャリアを持っていて。ニューヨーク出身の移民二世なんですね。お父さんがドミニカ共和国出身。お母さんがトリニダード・トバゴ出身。今、27歳です。 (宇多丸)ブロンクス出身ですね。 (宇垣美里)えっ、そんなに若かったんですか? もっと……貫禄が。 (高橋芳朗)貫禄がすごいですからね。で、2017年に
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