ゾンビといえば、B級ホラー映画の定番だ。しかし、誰もゾンビが実在するとは思わない。 ところが、南米のハイチに行くと年間に1000件程度のゾンビ目撃談があるそうだ。ごくたまに、ちゃんとした死亡診断書があって埋葬もされたハズなのに、ゾンビとして生きていた事例もある。しかもハイチにはゾンビ化にまつわる儀式を禁止する法律(刑法246条)まである。このことからもゾンビ現象はハイチではそこそこ深刻な社会問題だということがわかる。 ゾンビ現象については、民族植物学者のウェイド・デイビス博士の著書「蛇と虹」(草思社、文献1)が有名だ。この本で紹介されている事例の1つとして、1962年に起こったクレルヴィル・ナルシスなる人物のケースがある。このケースが特異なのは、彼がたまたまアメリカ人の運営する慈善団体の施設で死亡したことで、この施設では詳細で正確な記録をつけていた。 1962年5月2日、40歳前後のハイチ