SITE /Ghetto Hollywood による漫画『少年イン・ザ・フッド(1)』(扶桑社)が、9月2日に刊行され、その濃密な内容で話題となっている。90年代の日本のヒップホップシーンの熱狂を現代に伝えるかのようなその作風は、当時を深く知る人物にとってどう映ったのか。ジャパニーズ・ヒップホップの黎明期からシーンを見てきた、ライター/DJの荏開津広のレビューを掲載する。(編集部)【レビュー最後にプレゼント企画あり】 圧倒的な量のレファランスのイメージ群 SITE /Ghetto Hollywood による『少年イン・ザ・フッド』は、2020年の日本語で書かれ出版された書籍のベストに必ずこれを選び入れる、そう思わせるほどに途中で何度も繰り返し“やったぜ”と呟いてしまう、そんなグラフィック・ノヴェルだ。 設定されている時は現代、場所は現実に存在するどこかをモデルにしたと読み手が想像することが