介護ヘルパーの収入を申告せず生活保護費をだまし取ったとして、大阪府警黒山署などは19日、詐欺容疑で堺市東区大美野の介護施設職員、中辻寿子容疑者(73)を逮捕した。「借金があり、生活保護費だけでは苦しかったので、収入を申告しなかった」と容疑を認めているという。 逮捕容疑は、平成22年12月~26年8月、大阪狭山市から生活保護を受給しながらヘルパーとして得た収入約400万円を隠し、45回にわたり計約513万円をだまし取ったとしている。 同署によると、中辻容疑者は過去に喫茶店を経営してた大阪狭山市に居住しているとして、同市に生活保護を申請。昨年7月、市内での生活実態がなく不正受給の疑いがあるとして市側が同署に相談していた。
山口県知的障害者福祉協会と県弁護士会が、障害者施設での虐待防止を目的に包括協定を結ぶことが29日、決まった。2015年に発覚した同県下関市の知的障害者福祉施設「大藤園」での虐待事件を検証してきた同協会の最終報告書がまとまり、「虐待はどの施設でも起こり得る」として、外部の目を入れる必要性を提言した。弁護士が施設の職員や利用者の相談に応じたり、職員研修のため講師を派遣したりする。 下関の事件は15年5月、複数の職員が利用者を平手打ちしたり暴言を吐いたりする動画が報道されて表面化。協会は原因究明と再発防止のため、大藤園の職員・利用者からの聞き取り▽協会加盟の県内約100施設の職員の意識調査--などを実施し、最終報告書にまとめた。それによると、施設には当時、社会福祉の国家資格保有者がおらず、専門性に欠けていた。また利用者の作業場所は密室性が高く、職員による「支配的な対応が強ま…
賀茂地域6市町の社会福祉協議会は30日、成年後見事業の業務協定の調印式を下田市民文化会館で開いた。弁護士や司法書士などの資格を持たない第三者による「市民後見人」の育成などを共同で実施する。静岡県社協によると、市町の枠を超えた協定は全国で初めて。 高齢化率の高い賀茂地域で深刻な市民後見人不足への対応が目的。県社協によると、賀茂地域全体の市民後見人は現在16人。 下田市社協が中心になり、研修の開催や活動の支援などを行う。5町の社協も町民や医療関係者らからの相談に応じたり成年後見制度の啓発を行ったりして制度の利用促進を図る。弁護士や社会福祉士などの専門職からも支援を受ける。 式典で6社協の会長らが協定書に署名した。同市社協の高橋忍会長は「後見人不足はずっと不安だった。高齢者が安心して暮らせるように地域一丸となって取り組みたい」と抱負を語った。 立会人を務めた県社協の神原啓文会長は「全国に先駆けた
欧米各国の社会的養護の柱の一つに、生みの親と暮らせない子供たちを引き取り、法的に実の子として育てる特別養子縁組がある。対するわが国は、社会的養護を必要とする子供約4万6千人(2014年)のうち約84%が乳児院や児童養護施設で、約16%が里親家庭やファミリーホームで暮らし、特別養子縁組はわずかに500件前後にとどまる。 ≪まずは施設から里親委託へ≫ 日本も採択する国連の「児童の代替的養護に関する指針」を見るまでもなく、子供は家庭的な環境で育つのが望ましく、特別養子縁組こそ最善の福祉と言っていい。その普及に向け、わが国も社会的養護の在り方を抜本的に見直していく必要がある。 政府は15年春に閣議決定された少子化社会対策大綱で19年度末の里親委託率を22%に設定するとともに、昨年の児童福祉法改正では養子縁組に対する相談・支援を児童相談所の主要業務に位置付け、議員立法による養子縁組あっせん法の成立で
認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人の財産管理などを行う成年後見制度の利用促進に向けて、政府は14日、基本計画を自民党の部会に提案し、了承された。財産管理だけでなく、地域全体で利用者の生活を支える仕組みも追加。後見人らによる不正を防止する策も盛り込んだ。 2000年度に始まった成年後見制度の利用者は15年末時点で約19万1千人。判断能力が不十分とみられる人の2%程度にとどまる。25年には認知症高齢者が推計で700万人になるとされる。そこで政府は、こうした当事者がトラブルに巻き込まれないように後見人の利用促進を図る。 基本計画では、17年度から21年度までの5年間に実施する利用促進策をまとめた。大きな柱は、財産管理だけでなく、本人の意思を重視してお金を使う仕組みへ転換すること。弁護士や親族らが務める後見人に加え、医療や福祉関係者も加えたチームで支援。利用者の意見を踏まえて日々の生活に必
福祉サービス利用者の所持金を横領したとして、埼玉県警小川署は30日、業務上横領の疑いで、社会福祉法人小川町社会福祉協議会の元専門職員で東京都立川市の会社員、黒川麻理容疑者(49)を逮捕した。「横領していません」と容疑を否認している。 同社協の内部調査によると、22年6月〜27年4月、利用者4人に対して計41件、約510万円の被害が確認されているという。 逮捕容疑は平成26年12月15日、同社協が運営する福祉サービス利用援助事業「あんしんサポートねっと」の契約者の男性=当時(79)=から、現金約13万円を横領したとしている。同署によると、契約者の預金残高を確認した他の職員が使途不明金を見つけ、同署に相談して事件が発覚した。 黒川容疑者は18年〜28年7月に同社協に勤めていた。小川町長で同社協の松本恒夫会長は「利用者、町民の皆様に深くおわび申し上げます。信頼回復に向けて全力で取り組んでいきます
わきにある刺し傷を見ると、よく生き残って来られたものだと、大阪市内の上原よう子さん(34)は、今でも思う。 実父の虐待は生後まもなく始まった。3歳のとき、母の手伝いをし、お盆に載せたおかずを食卓に運ぶ際に転んでしまった。逆上した父が手にしたのは、果物ナイフだった。 それが、わきの傷だ。愛想を尽かした母は、離婚して2つ上の兄とともに家を飛び出してくれたが、平穏は長くは続かない。母が再婚した相手も、また、子供に暴力をふるう人だった。 職に就かず、昼間から酒を飲み、パチンコに負けては兄や私に手をあげた。中学にあがる頃には、学校に行かせてもらえず、監禁状態になった。風呂に何度も沈められ、鉄パイプで頭を殴られることもあった。 「憂さを晴らしていたのだろう」。そう思う。風呂嫌いになり、年中、肩にふけをためていた。たばこの火を体に押し当てられ、背中にも無数の傷がある。兄は腕がケロイド状になり真夏も長袖が
子どもが虐待で亡くなる事件が後を絶ちません。兆候があっても児童相談所や自治体が十分に対応できなかったり、行政と保育施設、病院などの連携が不十分だったりして防げなかったケースも少なくありません。虐待から子どもを守るための社会の仕組みについて考えます。 「救えなかった」無念今も 子どもの命をみつめる企画「小さないのち」。児童虐待の実態を伝えた一連のシリーズに、ある政令指定市で虐待対応を担当している職員からも匿名で声が寄せられました。 この職員は、かつて担当した子が虐待で命を落としました。ネグレクト(育児放棄)状態だったため、児童相談所(児相)に「危ない」と伝えていましたが、結局、一時保護されないまま、親からの暴力で亡くなりました。「救えなかったという気持ちは今も残っている。たぶんずっと乗り越えられない」と、無念の思いを記者に語りました。 重大な虐待事件が起きると、自治体は第三者の検証委員による
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