第一生命経済研究所は2017年に出産を機に女性20万人が退職し、2017年は1.2兆円の経済損失が生じたとの試算をまとめた。名目国内総生産(GDP)での影響を試算した。女性の所得が減るうえに企業活動も停滞していると指摘した。出産退職せず働き続けるには保育環境の整備も効果的という。17年の出生数94.6万人を基に試算した。出生順ごとの退職率を第1子(33.9%)、第2子(9.1%)、第3子(11
養護施設に妊娠相談窓口 出産前から女性支え、虐待防止 静岡 静岡市葵区の児童養護施設「静岡ホーム」(藤田一敏園長)はこのほど、望まない妊娠に悩んだり、出産を迷ったりしている女性のためのメール相談窓口「メープルほっとライン」を開設した。同ホームは親による虐待などから養護が必要な子どもたちを支える施設で、担当の社会福祉士は「虐待防止の観点からも、妊娠に悩む女性の孤立を防いでいきたい」と話す。 思いがけない妊娠に関するメール相談窓口について、打ち合わせをする社会福祉士=静岡市葵区の「静岡ホーム」 県内では昨年、女子大学生による乳児遺体遺棄事件が発生した。妊娠に気付いた学生が誰にも悩みを打ち明けることなく出産に至ったと聞き、民間相談窓口の不足を感じた同ホーム社会福祉士の海野美香さん(55)が、社会福祉法人による社会貢献活動の一環として窓口設置を提案した。県内の児童養護施設に妊娠相談窓口が設置される
今年6月26日、自民党の二階俊博幹事長が東京都内で講演し、「子どもを産まないほうが幸せじゃないかと勝手なことを考えている人がいる」と発言したことで、各方面から批判が相次いだ。 この発言を知ったとき、筆者は二階氏の発言は的外れだと思った。そんな状況を招いたのは、国民ではなく政府の責任が大きいからである。 子育て支援が少ない国ほど「夫婦の幸福度」が低い 2016年6月に、アメリカのワシントン・ポストのサイトに掲載された記事(データの大本は、テキサス州のベイラー大学などの研究)によると、先進国22カ国の子持ち夫婦と子なし夫婦の幸福度の平均値を比較した結果、「子持ち夫婦よりも子なし夫婦のほうが幸福度が高い」という調査結果が、3分の2の国で見られた。 子なし夫婦のほうが幸福度の高い国は、アメリカ、次いでアイルランド、ギリシャ、イギリス、ニュージーランド、スイス、ポーランド、オーストラリア、デンマーク
岡山大の中塚幹也教授らの研究班は、性同一性障害の当事者が、子どもを持つことをどう考えているかを探る意識調査の結果をまとめた。特別養子縁組で「子をもちたい」と思う人が5割を超えていた。7日、岡山大鹿田キャンパスで開く公開セミナーで報告する。 性同一性障害とは、心と体の性が一致しない人が、体の性を心の性に合わせて変える治療をする際の診断名。体の性が女性で、心の性が男性という「FTM」と、その逆の「MTF」がある。 中塚教授らは、中国地方のジェンダークリニックを受診した性同一性障害の人162人に調査表を配り、回答した157人分のデータを分析した。平均年齢は34歳で、FTMの人が94人(59・9%)、MTFの人が63人(40・1%)だった。3分の1が、子宮・卵巣、精巣を摘出する手術を受けていた。 家族全般に対する意識では「血のつながりがなくても家族になれる」は9割以上が「思う」「まあ思う」と答え、
日本精神保健福祉士協会(PSW協会、柏木一惠会長)は6月25日、旧優生保護法による不妊手術強制問題に関連し、被害者の掘り起こしと救済支援に取り組むよう求める文書を協会の構成員に発信した。「多くのPSWが旧法時代、この問題を看過してきたのではないか」とし、今できることをしようと呼び掛けている。 旧法は1948年に制定され96年に優生手術の規定は廃止された。日本弁護士連合会によると、精神障害などを理由に旧法下で行われた不妊手術は約2万5000件で、うち約1万6500件は本人の同意がなかった。 しかし、手術記録のない人や、手術されたのを隠したい人もいることから、被害の全体像は見えにくい。国に損害賠償を求め提訴する動きが相次ぎ、与党が救済法案の国会提出を検討していることから、同協会は「私たちがなすべきことは一人でも多くの被害者に情報を届けること」としている。 (福祉関連書籍)
◆鳥取 11 遺伝性の確認、厳密に行わず <主な資料> 審査会16回分に関する議事録や申請書など。49~58年が15回分、78年が1回分。 <内容> 計16回の審査会は、約20人について不妊手術の適否を議論し、全員に「手術に適する」との結論を出した。 旧優生保護法施行令は審査会開会と議決の要件に「委員総数の2分の1以上の出席」を挙げていたが、51年3月と同6月の審査会は委員総数9人に対し、出席者が4人だった。別の1人は委任状を出していた。 また旧優生保護法は強制不妊手術の条件に対象者が「遺伝性」の病気であることを挙げていた(4条)。この規定について審査会は遺伝性を厳密に確認する方針を取っていなかったとみられる。例えば、遺伝調査書の「本人の血族中遺伝病にかかった者」の欄に「不明」と書かれたり、血族の欄に「なし」と書かれたりした対象者は8人いた。これらの審査では「この程度の遺伝調査では人権擁護
■解説 障害者らに不妊手術を強制した優生保護法(1948~96年)の成立過程をめぐる連合国軍総司令部(GHQ)の記録からは、日本が「主権」を取り戻した途端、さらに差別意識をあおる法律に塗り替えた真相も見えてきた。 52年にサンフランシスコ講和条約が発効してGHQの廃止が決まると、日本は、GHQに厳密化を求められた「遺伝性」を無視し、強制不妊の対象を、遺伝性を問わず精神・知的障害者に広げた。その条文には、GHQの指摘を受けて「遺伝性疾患」を対象に強制不妊を認めた条文に追加した「訴訟を起こす権利」の記載もなかった。 ただ、GHQ側も医学的根拠の明確化などを強く求めながら、強制不妊そのものは否定しなかった。当時、米国でも多くの州で日本ほど対象は広くはないものの強制不妊を認める法律はあった。「戦後日本の民主化」を掲げた米国の人権意識にも底が見える。 国の統計によると、強制不妊の被害者は1万6475
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